研究課題/領域番号 |
18K16068
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
宮田 聡子 自治医科大学, 医学部, 講師 (30260855)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ハンセン病 / らい菌 / 感染経路 |
研究実績の概要 |
ハンセン病は、らい菌による抗酸菌感染症であり、主に皮膚や末梢神経障害を侵す慢性感染症である。世界保健機関(WHO)により、顧みられない感染症の一つに分類されている。特に、熱帯の途上国において未だに多くの症例が報告されており、このことは、公衆衛生の大きな問題になっている。世界のハンセン病患者のうち、7割はアジアに偏在しており、インドネシア共和国(インドネシア)は、依然として新規患者数が第2位の国である。インドネシアの大学との共同研究から、ハンセン病を制圧できない背景として、家族内発症例であっても、らい菌の遺伝子型が異なること、およびらい菌は生活用水中に存在し、主な感染経路は、鼻粘膜を介して感染することが明らかとなりつつあるが、その詳細は明らかではない。インドネシアにおけるハンセン病の有病率は、東西で大きく異なり、東インドネシアにおける有病率が高く、ハンセン病の有病率を分かつ地図上の線は、奇しく生物のアジア圏とオセアニア圏とを分けるWallace lineと一致し、その境界に位置するスラウェシ島は、他の大陸と陸続きなったことがないために独自の進化を遂げてきた。そのため、この地域にはらい菌の自然宿主となり得る生物が存在する可能性を考え、ハンセン病患者の環境中のらい菌の遺伝子多型を比較することによって、自然界からどのように感染が拡大しているのか、感染経路の解明をしたいと考えた。 本研究は、ハンセン病病変部位のらい菌、患者、同居患者地域住民の鼻粘膜に存在する環境由来のらい菌、患者の生活用水に存在するらい菌の遺伝子多型を検討することを目的とし、同症の多発地域にて予備調査を行い、Aralle地区に調査地域を定めた。新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより現地調査ができない間に、患者の死亡や転出により研究ができなくなった。2023年、新たに南東スラウェシ州のKendariにおいて予備調査を行い、調査地区に定めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
スラウェシ島マカッサルの都市化により、ハンセン病患者が多く住む地域が都市部から、郊外や山間部に移っており、交通の便が悪く雨季にはアクセスできない地区も含まれるようになったため、予備調査に時間を要した。 新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、渡航ができず、またその間に予定していた(2019年に調査地区として定めた)調査区域においてCOVID-19により多くの患者 が死亡や転出した為に調査不能となり、新たな調査地区を選定する必要が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
新たに調査区域を選定し、2023年に南東スラウェシ州Kendariでの予備調査を行い、同地区での現地調査を行うこととした。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症に伴う渡航規制により国外出張(インドネシア共和国における現地調査)が行えなかった為、実施年度をずらしたことによる差額である。2023年度の予備調査に基づいて、速やかにインドネシア共和国を訪問し、現地調査を実施する。
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