研究実績の概要 |
レチノイン酸産生酵素RALDH1を産生するCD11b-CD103-分画の真皮DCが、制御性T細胞を末梢で誘導することで皮膚線維化を抑制することを明らかにした研究成果を背景に、全身性強皮症の疾病因子の一つである転写因子Fli1に着目し、loxP-Creシステムを活用して各種細胞特異的Fli1欠失マウスを作製し、強皮症の線維化の病態におけるDCと各種細胞の相互作用の役割を明らかにすることを目的に解析を進めている。 今年度は各種細胞特異的li1欠失マウスの作成に成功した。Fli1 flox/floxマウスと、各種Creマウス(Cd19-Creマウス:B細胞特異的Fli1欠失マウス、LysM-Creマウス:骨髄系細胞特異的Fli1欠失マウス、Adipo-Creマウス:脂肪細胞特異的Fli1欠失マウス、K14-Creマウス:表皮細胞特異的Fli1欠失マウス)を交配し、各種細胞特異的Fli1欠失マウスを作成した。 各種細胞特異的Fli1欠失マウスの作成と並行して、BLM 誘発強皮症モデルマウスの皮膚におけるRALDH1の発現量を検討した。野生型マウスとFli1欠失マウスの炎症期皮膚におけるRaldh1, Raldh2, Raldh3, Il2, Tgfb1の発現量について定量的real-time PCR法で測定した。Fli1欠失マウスではRaldh1 mRNAの発現量が有意に低下していたが、Raldh2, Raldh3, Il2, Tgfb1のmRNAの発現量については両群では差がなかった。 さらに野生型マウスとFli1欠失マウスの骨髄細胞から樹状細胞を分化させ、遊走マーカーの発現量について検討した。Fli1欠失マウスの骨髄由来樹状細胞では野生型マウスの同細胞と比較して、CXCR4とCCR7の発現量が有意に亢進していた。一方、CX3CR1とCCR2の発現量については変化はなかった。
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