筑波大学附属病院と共同研究先である虎ノ門病院の血液内科症例コホートから64例の医原性リンパ増殖性疾患(OIIA-LPD: other iatrogenic associated lymphoproliferative disorder)を同定した。それぞの症例についてリンパ節生検での組織型、免疫抑制剤内服開始の契機となった自己免疫疾患、免疫抑制剤の種類、免疫抑制剤中止の有無、免疫抑制剤中止後の反応、化学療法の有無、化学療法への反応性、生命予後などの臨床情報を抽出し、解析を行った。その結果、既報と同様にびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL: diffuse large B-cell lymphoma)が約半数、次に古典的ホジキンリンパ腫(cHL: classical Hodgkin lymphoma)が約1/3であった。平成30年度末に懸案であった末梢性T細胞リンパ腫の頻度について施設間で頻度が違う問題について、病理組織学的なセントラルレビューの必要性がわかり、血液病理専門医に病理組織診断の確認を依頼し、解決することができた。解析対象としての新鮮凍結結標本の全て、FFPE永久標本の約半数では十分な品質、量のゲノムDNAを抽出することができた。検体からのDNAを材料としてリンパ系腫瘍関連412遺伝子を標的としたHaloPlex HSカスタムキットを用いて標的シーケンスのためのライブラリを作製した。平成30年度に約20症例のライブラリ調整を行い、すでにNextSeq500で全シーケンスリードのうち95%以上が標的領域にマップされることを確認していた。平成31年度にさらに約30症例のライブラリ調整を行い、MiSeqでのQCに問題ないことを確認している。今後、HiSeq 4000でのシーケンスにより深度の深いデータを獲得、解析し、論文化する予定である。
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