研究課題/領域番号 |
18K16081
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
宮嶋 ちはる 浜松医科大学, 医学部, 助教 (40770798)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | マクロファージ / 動脈硬化 |
研究実績の概要 |
当研究室ではヒトⅡa型家族性高脂血症モデルマウスであるLDL受容体およびRNA編集酵素APOBEC1のダブル欠損マウスLdlr-/-/Apobec1-/-)を用いて動脈硬化の発症メカニズムについて検討を行っている。Plg遺伝子を欠損したLdlr-/-/Apobec1-/-/Plg-/-欠損マウスはLdlr-/-/Apobec1-/-マウスに比べLDL-Cの上昇が認められるが、動脈硬化の形成が10%程度に抑えられていた。またマクロファージ(Mφ)によるOxLDL取り込みは Plgの存在下で上昇し、Plg活性化体Plmの阻害剤の存在下で抑制された。以上からMφにおけるLDL取り込みはPlmを介して制御されていることが明らかになった。そこで本年度は、Plg/PlmがMφによるOxLDL取り込みの主役であるスカベンジャー受容体(SR)の発現を介してMφの機能を制御するか解析を進めた。主要なSR(CD36、CD204)を中心に、両マウスの腹腔及び骨髄由来MφからmRNAを抽出し、Plgによる遺伝子発現の影響を検討した。Plgの遺伝子型の影響を検討した骨髄由来Mφにおいて、Plg欠損はSR遺伝子発現に影響は与えなかった。また、腹腔由来Mφにおいても、PlgによるSR遺伝子発現に影響は認められなかった。来年度も引き続き、PlgのSRのタンパク発現やLDL側への影響を検討することで、Plg/PlmによるMφの泡沫化の制御について詳細なメカニズを明らかにし動脈硬化の治療や制御の解明に大きく貢献する。また、Plg/Plm活性化システムが動脈硬化の形成に及ぼす影響を解明するためのモデルマウスの作製は順調に進んだ。 Ldlr-/-/Apobec1-/-マウス由来のPlg-RKT および uPAノックアウトマウスは現在バッククロス中であり、来年度から解析に用いて新たな研究結果を得る予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はPlg/PlmがMφによるOxLDL取り込みの主役であるスカベンジャー受容体(SR)の発現を介してMφの機能を制御するか解析を進めた。主要なSR(CD36、CD204)を中心に、両マウスの腹腔及び骨髄由来MφからmRNAを抽出し、Plgによる遺伝子発現の影響を検討した。Plgの遺伝子型の影響を検討した骨髄由来Mφにおいて、Plg欠損はSR遺伝子発現に影響は与えなかった。また、腹腔由来Mφにおいても、PlgによるSR遺伝子発現に影響は認められなかった。PlgがSR遺伝子発現に影響しないことが明らかになり、PlgがMφ上のSRタンパク発現に影響しているか、もしくはリガンド側であるLDLに影響し取り込み能を促進している可能性示唆され、順調に、PlgによるMφの機能制御メカニズが明らかにされつつある。来年度は、PlgのSRのタンパク発現やLDL側への影響を検討することで、Plg/PlmによるMφの泡沫化の制御について詳細なメカニズを明らかにし動脈硬化の治療や制御の解明に大きく貢献する。また、Plg/Plm活性化システムが動脈硬化の形成に及ぼす影響を解明するためのモデルマウスの作製は順調に進んだ。Ldlr-/-/Apobec1-/-/Plg-RKT-/-マウスを用いた動脈硬化の進展を解析することによって新規Plg受容体のMφ機能制御や動脈硬化への貢献を明らかにできる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、PlgのSRのタンパク発現やLDL側への影響を検討することで、Plg/PlmによるMφの泡沫化の制御について詳細なメカニズを明らかにする。Ldlr-/-/Apobec1-/-/Plg-/-欠損マウスおよびLdlr-/-/Apobec1-/-マウスのMφ上に発現するSRの発現量について、フローサイトメトリーを用いて比較検討する。また、リガンド側であるLDLに対するPlgの影響についても、ウェスタンブロット法やLC/MS法によって検討する予定である。 さらに、現在バッククロス中であるLdlr-/-/Apobec1-/-/PlgRKT-/-マウスを用いて動脈硬化の進展を解析する。まず、大動脈における動脈硬化をLdlr-/-/Apobec1-/-マウスと比較検討することでPlg-RKTの動脈硬化進展に対する影響を明らかにする。その結果次第で、病変の脂質蓄積やMφの有無、及び動脈硬化病変の繊維化等を検討し、病態の詳細な結果を得る予定である。
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