ヒトⅡa型家族性高脂血症モデルマウスであるLDL受容体およびRNA編集酵素APOBEC1のダブル欠損マウス(Ldlr-/-/Apobec1-/-)(L-/-/A-/-)を用いた動脈硬化の発症メカニズムについて検討を行った。このL-/-/A-/-マウスからPlg遺伝子を欠損したLdlr-/-/Apobec1-/-/Plg-/-欠損マウスはL-/-/A-/-マウスに比べLDL-Cの上昇が認められるが、動脈硬化の形成が10%程度に抑えられる。またマクロファージ(Mφ)によるOxLDL取り込みは Plgの存在下で上昇し、Plg活性化体Plmの阻害剤の存在下で抑制された。以上からMφにおけるLDL取り込みはPlmを介して制御されていることが示唆された。 主要なスカベンジャー受容体(SR)を中心に、両マウスの腹腔及び骨髄由来MφからmRNAを抽出し、Plgによる遺伝子発現の影響を検討したところ、骨髄由来Mφ、腹腔由来Mφともに、PlgによるSR遺伝子発現に影響は認められなかった。主要なSRタンパクの発現に対する影響についてもウェスタンブロッティングにより解析したところ、FACSの解析と同様に、PlgはSRタンパクの発現に対して影響を及ぼさなかった。さらにPlg/Plm活性化メカニズムが動脈硬化の形成に及ぼす影響ついて解析を進めるため、SR欠損マウスの作製した。今後は、バッククロスが終了したPlg-RKT欠損マウス、uPA酵素活性欠損マウス、SRのCD36欠損マウスの高脂血症に注目し病態解析を行っていく。 本研究では高LDL-C血症のメカニズムの解明に重要な各種遺伝子改変モデルマウスを各種樹立することができた。これらモデルマウス解析が進めば、動脈硬化に対するPlgやその受容体の新規機能明らかになるとともに、高LDL-C高脂血症の病態メカニズムが明らかになり、治療標的や創薬の一助になりうる。
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