腸管炎症により腸内細菌が体内に浸潤することで、造血応答に何らかの影響を及ぼすのではないかと考え、腸炎が造血に与える影響について検討を行った。デキストラン硫酸ナトリウム投与による腸管炎症モデルマウスを用いて造血応答を解析したところ、急性腸炎下では骨髄において造血幹・前駆細胞(HSPC)が増加した。さらに、腸間膜リンパ節においても増加していたことから、腸炎によるHSPCの炎症局所への遊走が示唆された。TRIF/Myd88欠損マウスを用いて解析したところ、腸炎下でも骨髄やリンパ節におけるHSPCの増加を認めなかったことから、これらの造血応答がTLRシグナルによって制御されていることが示唆された。
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