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2018 年度 実施状況報告書

Sytl1により分泌制御されるAMLエクソソームの骨髄定着における役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K16100
研究機関公益財団法人がん研究会

研究代表者

角南 義孝  公益財団法人がん研究会, がん研究所 発がん研究部, 特任研究員 (50732864)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード急性骨髄性白血病 / 骨髄生着 / Sytl1
研究実績の概要

私が所属する研究室では、これまでに急性骨髄性白血病(AML)関連遺伝子Meis1の標的としてSytl1を同定し、Sytl1がHoxa9/Meis1関連白血病細胞の骨髄定着に必須であることを明らかにした(J Clin Invest. 126, 1664-78, 2016)。そこでAML細胞がSytl1活性化を介して細胞内小胞をエクソソームとして分泌し、骨髄微小環境を教育することでAML細胞の骨髄定着を促進するモデルを着想し、これによりAML細胞が骨髄定着する分子基盤を明らかにすることを目的とした。まずSytl1ノックアウト(KO)マウスの骨髄細胞をHoxa9で不死化したSytl1 KO細胞株と、これにSytl1遺伝子を再導入したSytl1過剰発現細胞株をそれぞれ樹立し、超遠心法を用いてエクソソーム分画を確認した。次にMeis1非関連AML細胞の骨髄定着にもSytl1が必須であることを示す目的で、NUP98-HOXA9とFlt3 ITDをSytl1KOマウス骨髄細胞に導入し、ここにSytl1遺伝子を再導入することでSytl1 KO、および過剰発現AML細胞株を樹立した。これらを間質細胞株OP9と共培養したところ、Sytl1 KO AML細胞株ではCobblestone area forming cell形成が阻害され、Sytl1がMeis1非関連AML細胞の骨髄定着にも作用することが示唆された。一方、これらの細胞をC57BL/6Jマウスに移植しても移植後48時間の骨髄中AML細胞の割合に差は認めず、2週間後にはいずれのマウスもAMLを発症した。以上からSytl1はMeis1非関連AML細胞の骨髄定着に一定の役割を担っているものの、必須の因子ではないと考えられた。現在はshRNAスクリーニングを用いて、Sytl1以外の骨髄定着に必須の因子を探るべく研究を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

Sytl1がMeis1非関連AML細胞の骨髄定着にも必須であることを証明した後、Sytl1が分泌制御するAMLエクソソームの解析に進む予定であったが、Meis1非関連AML細胞の骨髄定着におけるSytl1の役割は限定的であることがわかり、進捗状況としてはやや遅れているとした。一方で、Hoxa9/Meis1を発現するAML細胞株であるH9M1細胞を用いた、全遺伝子に対するshRNAスクリーニングは今年度内に終了し、Sytl1に代わるAML細胞の骨髄生着に重要な遺伝子候補として450遺伝子を同定している。現在、別のAML細胞株として樹立したMLL/ENL AML細胞を用いて、全遺伝子に対するshRNAスクリーニングを行なっている。これらの細胞株間で共通するAML細胞の骨髄生着に必須の遺伝子を抽出することにより、遺伝子候補の絞り込みを行なっていく予定であり、本研究課題の目的である「AML細胞が骨髄定着する分子基盤の解明」に向けては確実に前進しているものと考えている。

今後の研究の推進方策

現在、Hoxa9/Meis1の上流にある白血病原因遺伝子であるMLL/ENL融合遺伝子を発現するAML細胞株を用いたshRNAスクリーニングを行なっており、これによりAML細胞の骨髄定着に必須の遺伝子候補の絞り込みを行なっている。shRNAスクリーニングにより同定した遺伝子に対しては、今後、CRSPR/Cas9システムを用いたSgRNAスクリーニングによるセカンドスクリーニングを行い、これによりSytl1に代わるAML細胞の骨髄定着に必須の遺伝子を同定する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Hommomultimerization of mutant calreticulin is a prerequisite for MPL binding and activation.2019

    • 著者名/発表者名
      Araki M, Yang Y, Imai M, Mizukami Y, Kihara Y, Sunami Y, Masubuchi N, Edahiro Y, Hironaka Y, Osaga S, Ohsaka A, Komatsu N.
    • 雑誌名

      Leukemia

      巻: 33 ページ: 122-131

    • DOI

      10.1038/s41375-018-0181-2.

    • 査読あり
  • [学会発表] Bcl11a promotes AML development through the abrogation of PU.1 activity.2019

    • 著者名/発表者名
      Sunami Y, Yoshino S, Yokoyama T, Nakamura T.
    • 学会等名
      11th AACR-JCA Joint Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] Bcl11aによるAML発症、悪性化機序の解明2019

    • 著者名/発表者名
      角南義孝, 中村卓郎
    • 学会等名
      第23回 造血器腫瘍研究会
  • [学会発表] Gene expression profiles in ATRA-induced granulocytic differentiation.2018

    • 著者名/発表者名
      Sunami Y, Araki M, Yamamoto S, Horiuchi Y, Tsujioka K, Mogushi K, Imai M, Morishita S, Ohsaka A, Komatsu N.
    • 学会等名
      第80回 日本血液学会学術集会
  • [学会発表] Bcl11a promotes Trib1-induced myeloid leukemia development.2018

    • 著者名/発表者名
      Sunami Y, Yoshino S, Yokoyama T, Nakamura T.
    • 学会等名
      第77回 日本癌学会学術総会
  • [学会発表] Bcl11aのAML発症における役割の解明2018

    • 著者名/発表者名
      角南義孝, 芳野聖子, 横山隆志, 中村卓郎.
    • 学会等名
      平成30年度若手支援技術講習会

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公開日: 2019-12-27  

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