研究実績の概要 |
急性リンパ性白血病(Acute Lymphoblastic Leukemia: ALL)において、小児期(ETV6-RUNX1など)、成人期に頻発する融合遺伝子(BCR-ABL1など)の存在が以 前より知られ、年齢依存的に融合遺伝子の種類と頻度が変動するのが特徴とされる。 我々は、JALSG(日本成人白血病共同研究グループ)で実施されたALL202-U研究とALL202-O研究の両コホートにおいてRNAシーケンスを行い、網羅的に融合遺伝子 の検出を試みた。その結果、頻度の高い融合遺伝子(DUX4, ZNF384, MEF2D, E2A-PBX1, BCR-ABL1, JAK2, CRLF2, KMT2A)の存在を確認した。DUX4とMEF2DはAYA世代で好発する一方、Ph-like ALLとZNF384はAYA・成人と両世代に均等に存在することが明らかとなった。 さらにそれぞれの融合遺伝子のエクソン上での融合点を確認した。本研究はゲノム上のbreakpointの配列をもとに融合遺伝子が形成される機序を解明する研究であり、DUX4, ZNF384, MEF2Dにおけるゲノム上のbreakpointの同定を行った。DUX4のbreakpointにはRAGが認識するコンセンサス配列が確認されたが、現在のところ他の融合遺伝子には特徴的な配列は確認されなかった。年齢依存的な融合遺伝子の発症がゲノム上のbreakpointの特徴と関連しているのか、更なる研究が必要である。
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