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2019 年度 実施状況報告書

赤芽球造血における骨髄微小環境の役割

研究課題

研究課題/領域番号 18K16107
研究機関筑波大学

研究代表者

坂本 竜弘  筑波大学, 附属病院, 病院講師 (60815398)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード骨髄微小環境 / マクロファージ / Nestin陽性間葉系細胞 / 赤芽球造血 / IL-6
研究実績の概要

昨年度及び今年度Nestin-GFPマウスを用いてNestinを発現する微小環境細胞をフローサイトメトリーを用いて分取し、培養した。その結果、Nestin陽性細胞はbFGF存在下においてCFU-Fibroblast (CFU-F) colonyを形成することがわかり、間葉系微小環境構成細胞であることが示され、Nestin陽性微小環境構成細胞の起源が間葉系細胞であることが解明された。Rbpjコンディショナルノックアウト(cKO)マウス、野生型マウスそれぞれより採取したマクロファージと同様に採取したTer119陽性赤芽球を用いて、赤芽球島の再構築能を評価した。その結果Rbpj cKOマウスより採取したマクロファージと野生型マウスより採取したTer119陽性赤芽球を混合した場合、赤芽球島の再構成が障害された。逆に野生型マウスより採取したマクロファージと、Rbpj cKOマウスより採取した赤芽球を混合した場合には赤芽球島の再構築障害はみられなかった。この結果よりRbpj cKOマウスでみられる赤芽球系の造血障害が赤芽球由来ではなく、マクロファージ由来であることが解明された。
Rbpj cKOマウスと野生型マウスから採取したマクロファージの遺伝子発現を比較したところ、Rbpj cKO マウスから採取したマクロファージでIL-6のmRNA発現が高いことが分かった。この結果に基づいてIL-6レセプターの中和抗体を用いた実験を行った。その結果、抗IL-6抗体を投与したRbpj cKO マウスでは赤芽球の分化障害が消失しており、マクロファージによるIL-6の産生増加に起因する機能障害がこの原因であることが推測された。
これらの結果をStem cellsに投稿し、査読を受け改訂の上で受理された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Rbpjコンディショナルノックアウトマウスで既に観察されていた赤芽球の分化障害のメカニズムとして、マクロファージによるIL-6の産生増加に起因する機能障害がこの原因であることが推測されるデータを得ることができ、論文を投稿し今年度Stem cells誌に受理されたため、概ね順調に進展していると判断している。

今後の研究の推進方策

今年度までにNestin陽性細胞においてNotchシグナルを障害すると骨髄における赤芽球造血が障害される結果が得られ、論文として公表した。
ただし、Nestin陽性細胞における網羅的遺伝子解析は行っておらず本コンディショナルノックアウトマウスを用いて、Nestin陽性骨髄微小環境構成細胞の遺伝子発現解析を行い、その変化の観点からも赤芽球造血障害が起こるメカニズムの解明を行う計画としている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Notch Signaling in Nestin-Expressing Cells in the Bone Marrow Maintains Erythropoiesis via Macrophage Integrity2019

    • 著者名/発表者名
      Sakamoto Tatsuhiro、Obara Naoshi、Nishikii Hidekazu、Kato Takayasu、Cao-Sy Luan、Fujimura Ryosuke、Yagita Hideo、Sakata-Yanagimoto Mamiko、Takahashi Satoru、Chiba Shigeru
    • 雑誌名

      STEM CELLS

      巻: 37 ページ: 924~936

    • DOI

      10.1002/stem.3011

    • 査読あり
  • [学会発表] Notch signaling in nestin-expressing bone marrow stromal cells supports erythropoietic niche2019

    • 著者名/発表者名
      Tatsuhiro Sakamoto
    • 学会等名
      The 10th JSH INTERNATIONAL SYMPOSIUM
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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