研究実績の概要 |
これまで iNKT細胞は幅広い腫瘍細胞に細胞傷害活性を示すことが示されているが、一般的にiNKT細胞はCD1d拘束性に糖脂質を認識することしか知られていない。そこで、本研究ではiNKT細胞のCD1d非依存性腫瘍認識機構を明らかにすることを目的とした。 我々の培養系ではiNKT細胞はαGalCerを提示したCD1d陽性白血病細胞のみならず、CD1d陰性白血病細胞に対しても脱顆粒、サイトカイン産生し、直接的細胞傷害活性を示した。このことからiNKT細胞はCD1d非依存性の腫瘍認識機構を有することが明らかとなった。またiNKT細胞のCD1d陰性白血病に対する細胞傷害活性は、NOGマウスにCD1d陰性白血病細胞株K562を移植したヒト白血病マウスにおいても確認された。以上のことからiNKT細胞養子免疫療法は白血病に対して有効である可能性が示された。 iNKT細胞にはNKG2D, DNAM-1, 2B4, LFA-1, CD2といった共刺激分子が発現しており、CD1d陰性白血病細胞に対するiNKT細胞の脱顆粒能、サイトカイン産生、直接的細胞傷害活性は、これらいずれの阻害抗体によっても抑制された。またこれらの受容体に対する抗体をその二次抗体を用いて架橋し、単一受容体刺激を加えたところ、LFA-1, CD2の刺激によって脱顆粒、サイトカイン産生が誘導された。これらのことからLFA-1, CD2がCD1d陰性白血病細胞に対する細胞認識に寄与していることが示唆されたが、CRISPR/Cas9 systemを用いてLFA-1, CD2のノックアウト(KO)を行っても脱顆粒能は比較的保たれた。一方でTCRをKOすることで脱顆粒能は失われた。以上のことからiNKT細胞のCD1d非依存性腫瘍認識においてもTCRが重要な役割を担っていることが明らかとなった。
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