研究課題
本研究の目的は、造血器腫瘍の発症および治療抵抗性おけるADAM8遺伝子の役割を解明し、治療抵抗性造血器腫瘍を克服する新規治療薬開発の端緒とすることであり、概ね順調に進捗している。診断時のCML患者検体において遺伝子工学的手法によるADAM8のノックダウンおよび、薬理学的手法によるADAM8の機能阻害を行ったところ、両者ともに治療抵抗性が解除されることを明らかとなり、CMLのプラットフォームが治療抵抗性に関わるADAM8の分子メカニズムの解明に適切であると考えられた。CMLの治療抵抗性に関わるADAM8の分子メカニズム解明においては、CML-BCの細胞株(K562、KU812、KCL22、NCO2)において、K562でADAM8のタンパク質レベルでの発現を確認した。また、K562細胞株においてADAM8をノックダウンしたところ、増殖能が亢進しtyrosine kinase inhibitor(TKI)感受性が増加することを見出した。また、造血器腫瘍の治療抵抗性におけるADAM8の役割をより幅広く解析するためにTCGAのデータベースを用いて急性骨髄性白血病患者の予後とADAM8の発現量の関連を検討したところ、ADAM8高発現の患者群で予後が不良な集団が存在することを見出した。さらに、8種類の急性白血病細胞株でADAM8の遺伝子発現をタンパク質レベルで検討したところ、Kasami1白血病細胞株においてADAM8のタンパク質レベルでの発現を確認した。
2: おおむね順調に進展している
本研究の目的は、造血器腫瘍の発症および治療抵抗性おけるADAM8遺伝子の役割を解明し、治療抵抗性造血器腫瘍を克服する新規治療薬開発の端緒とすることであり、以下の新たな知見を研究計画に沿って見出していることを根拠に概ね順調に進捗していると考えられる。CMLの治療抵抗性に関わるADAM8の分子メカニズム解明においては、CML-BCの細胞株(K562、KU812、KCL22、NCO2)において、K562でADAM8のタンパク質レベルでの発現を確認した。また、K562細胞株においてADAM8をノックダウンしたところ、増殖能が亢進しtyrosine kinase inhibitor(TKI)感受性が増加することを見出した。TCGAのデータベースを用いて急性骨髄性白血病患者の予後とADAM8の発現量の関連を検討したところ、ADAM8高発現の患者群で予後が不良な集団が存在することを見出した。さらに、8種類の急性白血病細胞株でADAM8の遺伝子発現をタンパク質レベルで検討したところ、Kasami1白血病細胞株においてADAM8のタンパク質レベルでの発現を確認した。
当初の研究計画通り、遺伝子工学的手法を用いてADAM8が治療抵抗性に関連することを示唆する知見が得られた。今後は、樹立したADAM8ノックダウン白血病細胞株を用いて、治療抵抗性に関連する分子メカニズムを網羅的遺伝子発現解析などの解析を用いて明らかにするとともに、マウスモデルを用いた生体内での検証、患者検体での検証を並行して進めていく予定である。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Scientific Report
巻: 8(1) ページ: 15855
10.1038/s41598-018-34193-1