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2018 年度 実施状況報告書

多発性骨髄腫におけるMDSCによる免疫制御機構の解析および治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 18K16125
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

志村 勇司  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00714685)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード多発性骨髄腫 / 骨髄由来免疫抑制細胞 / 腫瘍免疫 / 免疫療法
研究実績の概要

本研究は、骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)という抗腫瘍免疫抑制作用を持つ細胞に着目し、多発性骨髄腫(MM)という難治性血液疾患に関するMDSCの作用、MMとの相互作用の解析ならびに治療への応用が目的となっている。2018年度は以下の成果が得られた。
1.多発性骨髄腫細胞株と骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)との相互作用の解析
多発性骨髄腫細胞株と健常人ドナー由来の末梢血単核球を混合培養(分離培養)し、MDSC誘導の有無につき検証したところ、一部の細胞株のみにてM-MDSCの誘導が可能であった。PMN-MDSCについては全ての細胞株で誘導は認めなかった。MDSC誘導能の有無にはサイトカインをはじめとする液性因子が関与している可能性が高いと考えられたため、MDSC誘導可能細胞株と非誘導細胞株の液性因子を比較するためにサイトカイン、ケモカインの抗体アレイを用いたスクリーニング検査を行い、誘導細胞株のみにて高発現する複数の液性因子を同定した。同時に誘導細胞株ならびに非誘導細胞株いずれにおいても高発現する因子も同時に同定した。これら因子については、細胞内mRNAレベルでの発現増加をRT-PCRを用いて確認した。誘導細胞株については、これら液性因子に対する中和抗体を用いることにより、MDSC産生能の一部を阻害することが可能であり、非誘導細胞株については、液性因子の負荷によるMDSC誘導が可能であった。
2.既存の多発性骨髄腫に対する治療薬のMDSCに対する作用の検討
既存の治療薬を上記共培養システムに添加し、MDSC誘導能に対する効果を検討したところ、特に免疫調整薬と呼ばれるレナリドマイド、ポマリドマイドにおいて強力なMDSC誘導抑制作用が観察された。これら薬剤により、上記で同定された液性因子はmRNAレベル、タンパク質レベルともに抑制されていた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

多発性骨髄腫細胞株のMDSC誘導能に関する基礎的な解析は1年半程度を予定しており、現時点で候補分子の同定が順調に進んでいる。現在は同定した液性因子や多発性骨髄腫に対する薬がMDSCおよび骨髄腫細胞に対しどのような分子機序で影響を及ぼすかについての解析を準備中である。

今後の研究の推進方策

・多発性骨髄腫(細胞株)から分泌される液性因子が、どのように末梢血単核球に作用し、MDSCを誘導しうるかについて細胞内分子伝達経路の解析を行う。
・上記結果を参考に、免疫調整薬単独もしくは多剤併用にて、効率的にMDSCを抑制しうる治療薬の可能性につき検討する。
・免疫調整薬の免疫担当細胞に対する効果についてさらなる解析を行う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Potency of immunomodulatory drugs in interfering molecular mechanisms underlying the induction of myeloid-derived suppressor cell in multiple myeloma2019

    • 著者名/発表者名
      太田沙絵子
    • 学会等名
      第44回日本骨髄腫学会学術集会

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公開日: 2019-12-27  

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