研究実績の概要 |
多発性筋炎/皮膚筋炎(PM/DM)の中でも最も予後不良な一群である抗MDA5抗体陽性DMの病態背景にはinterferonopahty とともに単球/マクロファージ(Mφ)の活性化病態が考えられているが、未だに詳細な病態機序は不明である。本研究では抗MDA5抗体陽性DMにおける単球・Mφの病態機序を探究するため、末梢血単核球のプロファイルとともに、単球の遊走に関連するフラクタルカイン(CX3CL1)とそのレセプター(CX3CR1)が及ぼす影響について検討した。 抗MDA5抗体陽性DM(未治療)14例と健常人9例から末梢血単核球を分離し、フローサイトメトリーを用いて、治療前単球サブタイプ解析: classical(CD14+;CD16-), non-classical(CD14+CD16+), intermediate(CD14++CD16+)を検討し、抗MDA5抗体陽性例ではnon-classical単球が有意に増加し、classical単球が有意に減少していた。また抗MDA5抗体陽性例は治療によって寛解に至るとnon-classical単球分画の割合が減少していた。次にPM/DMの保存血清サンプルを用い、血清CX3CL1濃度をELISA法を用いて測定し、筋炎特異抗体によって分類された患者群間で治療前におけるCX3CL1濃度を比較したところ抗MDA5抗体陽性例で有意にCX3CL1が高値であることが示された。また、治療経過中のCX3CL1濃度の推移は予後不良群の方が予後良好群よりも経過中にCX3CL1が有意に増加していることを示した。最後にPM/DM患者において診療上必要となった皮膚生検検体を用い、病変皮膚組織内におけるMφの分布(M1, M2)を組織病理学的に検討したところ、M1よりもM2Mφの方が真皮血管周囲を中心に多く浸潤・分布していた。
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