研究課題/領域番号 |
18K16146
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西出 真之 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (80812255)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ANCA関連血管炎 |
研究実績の概要 |
本研究課題において、我々はまずANCA関連血管炎の疾患モデル動物を樹立することに取り組み、MPO-KOマウスにMPOタンパクを免疫する手法を改良することで、ヒトの病態に非常に近い重篤な腎血管炎をマウスに発症させることに成功した。具体的には、リコンビナントMPOタンパクをMPO欠損マウスに免疫したのち、約8週間後に安楽死、採血、脾臓採材、細胞調製を行う。採取した脾細胞はRag2 KOマウスに移入する事により、糸球体腎炎を含むANCA関連血管炎を発症させた。 その結果、コントロール群に比べ、モデルマウスは有意な差を持って半月体形成腎炎を発症し、尿中アルブミンが増加した。また、血管炎と密接な関係にある好中球細胞外トラップ(NET)を形成している好中球が血管炎モデルでは増加し、尿たんぱくレベルと相関していることがわかった。本モデルは、現時点において国内で唯一のANCA関連血管炎疾患モデルマウスの樹立成功例である。 好中球免疫チェックポイント分子として同定したセマフォリン4Dに対する抗体については、従来の抗体のアイソタイプをマウスIgGに変換、またそのサイレンスFc体を構築することで、治療実験へアプライするための準備を整えた。 血清中のセマフォリン濃度測定のための臨床サンプルは、倫理委員会に承認された研究計画に基づいて今年度は23例のAAV患者の血清サンプルを取得し、当初の予想を上回るペースで臨床検体を集積している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の最大の目標としていたANCA関連血管炎の疾患モデル動物を樹立することに成功した。しかし、現在の課題として、上述の血管炎モデルの重症度に多少のバラつきがあり、今後の前臨床試験を見据え、系の安定化が必要であるため、現在は、動物実験系を安定、拡大することにシフトし、セマフォリン関連分子を標的とした治療実験の準備段階である。
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今後の研究の推進方策 |
動物実験系を安定、拡大することにシフトし、セマフォリン関連分子を標的とした治療実験を行う。また、臨床内科学の教室の特性を発揮し、実臨床のAAV患者さんの血清、血球を臨床研究計画に基づいて取得し、セマフォリン及び関連分子の発現、その動態についても検討することで、Bed-to-Bench/Bench-to-Bedの双方向でAAV治療の病態解明、治療法の探索に引き続き取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の直接経費の執行が少額となった理由、及び次年度への繰り越しの必要性を以下に述べる。まず、本年度に行った血管炎モデルマウスの樹立に使用した試薬は、前年度までに作製に保存していた試薬を主に用いる事が出来た。次年度はこれらを元に疾患モデルの安定化にシフトするため、新たな免疫用試薬、抗体精製のための実験器具、マウスの維持費等で、計上している予算が必要である。 また、臨床サンプルの解析計画においてはサンプル集積がメインであったため予算を執行することが無かった。計画しているELISAたFACSはサンプルが多数集まってからでないと施行できない側面があり、次年度はこれらを実行に移すべく、ELISA用キットやFACS用抗体の購入を計画しており、計上している予算が必要である。
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