研究課題/領域番号 |
18K16147
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
前田 悠一 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10815658)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 腸内細菌関連関節炎 |
研究実績の概要 |
われわれは、関節リウマチ(RA)患者の腸内細菌叢の解析を行い、Prevotella copriが健常者より優勢で、マウスの関節炎の重症化に関与することを報告してきた。しかし、穀物を主食とする東南アジアやアフリカなどの諸国では、健常者においても腸内で50%を超えるP. copriの増加が報告されている。これらの解釈はこれまで困難であったが、RA患者と健常者の糞便からP. copriを嫌気下で単離することに成功し、その性質の違いを評価する実験を行った。 まず単離したRA患者由来のP. copri(以下RA-P. copri)と健常者由来のP. copri(以下HC-P. copri)を嫌気下で培養し関節炎モデルマウスに投与し感受性を評価した。DBA/1マウスに広域抗生剤を投与した後に、培養したRA-P. copriとHC-P. copriを経口投与した。投与後に糞便を回収し、それぞれのP.copriがマウスに定着しているのを確認し、Ⅱ型コラーゲンとアジュバントの混合したエマルジョンをDBA/1マウスに2回投与した。マウスの関節炎のスコアを経時的に評価したところ、RA-P. copriを投与したマウスはHC-P. copriを投与したマウスと比較して、重篤な関節炎を認めた。また無菌のSKGマウスにRA-とHC-P. copriを移入し単独定着マウスを作成し関節炎を誘導したところ、RA-P. copriを単独定着させたマウスの関節炎が増悪した。同じP. copri菌であっても、RA患者の腸内に生息するP. copriは関節炎惹起能が強く、RAの病原性に寄与すると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RA由来のP.copri菌が関節炎増悪に寄与することを2つの関節炎モデルで見出しており、実験は順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
RA由来のP.copriが関節炎を増悪させるメカニズムの解析を行う。関節炎モデルの腸管の免疫学的解析や腸内細菌と自然免疫細胞との相互作用の解析を中心に行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験に関しては進捗があったが、学会発表等については十分でない。そのため使用額が少なく、次年度使用額が生じた。
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