2019年度の研究計画としては、2018年度から継続し①SKGマウスの各組織由来MDSCの表現型・機能に差異があるか(組織特異的MDSCサブセット)の解明、②各組織由来MDSCのT細胞増殖および分化に与える影響について解明の2点に加え、③肺由来MDSCの養子移入により肺病変を改善させることができるかの解明を挙げていた。 ①については、各組織(骨髄、脾臓、肺および滑膜)由来MDSCに発現するケモカインレセプターを検討したところ、滑膜由来MDSCは骨髄および脾臓由来MDSCと比較しCCR5の発現が高くCCR2の発現が低いことが分かった。また、マイクロアレイで関節炎マウスの各組織由来MDSCを解析したところ、滑膜由来MDSCはリンパ組織由来(骨髄および脾臓)MDSCと比較し、炎症抑制に関わるいくつかの分子の発現が高いことが分かった。 ②については、各組織由来MDSCとCD4陽性T細胞を共培養したところ、肺由来MDSCはT細胞増殖およびTh17細胞分化を抑制した。また、滑膜由来MDSCもT細胞増殖を抑制した。脾臓由来MDSCおよび骨髄由来MDSCは抑制能が弱いことが分かった。 ③について、養子移入実験は未施行であるが、JAK阻害剤であるトファシチニブが肺由来MDSCを増加させ間質性肺炎の抑制に寄与することを見出した(Sendo S et al. Arthritis Res Ther. 2019 Aug 6;21(1):184.)。
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