関節リウマチ(RA)の治療において、メトトレキサート(MTX)の有効性・副作用と関連すると報告されている遺伝子一塩基多型(SNP)、バイオマーカーはいくつか存在する。しかし、これらの関連は、研究間で結果が異なっていたり、関連の程度が非常に小さかったりするため、個々のSNP、単一のバイオマーカーだけでは、MTXの有効性・副作用の予測は困難であり、臨床でのインパクトは小さく、また、より生物学的なSNPを抽出し、モデルの外的妥当性を高める必要がある。 前年度に引き続き、当該年度ではMTX服用中のRA 患者の情報と検体の収集を行った。また、MTXは細胞内でポリグルタミル化されMTX-PGとなり効果を呈するので、前年度と同様、SNPとMTX-PG濃度との関連を検索し、より生物学的なSNPを抽出した。さらに、患者のMTX内服量とMTX-PGn濃度との相関を検討し、その濃度規定に関わる可能性のあるSNPを抽出した。また、SNPと有効性、副作用との関連について解析を行い、一部のSNPが抽出され、予測モデルに加えるとともに、臨床的因子も追加し、多変量解析に含め、予測モデルの向上につながるか検討した。最終的には症例数を増やして、複合SNPと臨床的因子による予測モデルを作成でき、結果を論文化した。各予測モデル間の診断精度を比較し、遺伝子・臨床モデルが優れていることを示した。さらに、メタ疫学的手法によりバイアスの調整を実施した。
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