研究課題
2019年度は、 これまでマウスで得られた研究業績(バイサルファイトシーケンス解析にて、CTSEイントロン1領域内のCGCG配列で、B6に比較しMRLでDNAメチル化が有意に低下していることを確認した。さらに同領域に結合するメチル化感受性転写因子の候補として、Kaisoに着目した。CGCG配列へのKaisoの結合についてChIP-PCRを行い、MRLにおける同配列への結合能の低下を確認した。さらに、5-azaCとTSA処理後マウスリンパ腫細胞株(EL-4細胞)にて、同様にChIP-PCRで検討したところ、脱メチル化・ヒストンアセチル化状態にあるCGCG配列では有意にKaisoの結合能が低下し、CTSEのmRNA発現亢進を認めた。さらにKaisoとCGCG配列の結合を解析するため、 EMSAを施行したところ、 CGCG配列に対して、 Kaisoが蛋白DNA複合体を形成し、 スーパーシフトを確認した。さらに、 CGCG配列をはさむ、 DNA低メチル化領域をインサートとしたベクターを作成し、ルシフェラーゼアッセイ法で転写抑制活性があることを確認した。また、CTSEの機能を解析するため、EL-4にsi-CTSEをエレクトロポレーションし、PMA/ionomycinで刺激を与え、その血清においてIL-10の分泌がsi-controlに比較して、低下していることを確認した。)を基に、 ヒトでも検討を行った。 SLE初発治療前患者15名と健常者8名の末梢血CD4陽性T細胞よりRNAを抽出し、CTSEおよびIL-10 mRNA発現量をreal-time PCR法で定量したところ、SLE患者で健常者に比較し有意な発現上昇を認めた。しかし、SLE患者の臨床所見とこれらmRNA発現量との関連は認められなかった。またCTSE阻害薬を用いた実験は継続中である。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Scientific Reports
巻: 9 ページ: -
10.1038/s41598-019-38809-y.