研究課題/領域番号 |
18K16153
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
清水 俊匡 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (40770467)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | IL-15 / 多発性筋炎/皮膚筋炎 / 間質性肺炎 |
研究実績の概要 |
多発性筋炎/皮膚筋炎はしばしば間質性肺炎(ILD)を合併し、中には急速進行性間質性肺炎(RPILD)を来たし、致死的な転帰を辿ることもある。我々は血清のサイトカインを用いた検討で、血清IL-15がRPILDと非RPILDを識別する重要なサイトカインであることを同定した。そのため多発性筋炎/皮膚筋炎関連RPILDにおける IL-15の機能解析を行なっている。 血清を用いた検討では、治療前後のRPILDの血清でのIL-15値の推移を検討したところ、治療後増悪した群(n=7)では有意にIL-15値は上昇していた。このことより 血清IL-15値の推移を確認することは治療反応を予測、反映することができると考えた。 また気管支肺胞洗浄液中のIL-15値に関して、RPILD群(n=5)と非RPILD群(n=7)を比較したところ、RPILD群で有意に高値であった。このことより、RPILDの病態に おいてIL-15は肺局所においても産生が亢進していることが示唆された。RPILD症例の診断時の肺組織およびRPILDで死亡した症例の剖検組織において、免疫染色でIL-15を染色したところ、上皮細胞、浸潤細胞ともに発現を認めた。IL-15は浸潤細胞、上皮細胞両者より産生されている可能性が示唆された。In vitroの系では肺胞上皮細胞のcell line(A549細胞)および気管支上皮細胞のcell line(BEAS-2B細胞)をMDA5のリガンド(Poly I:C)で刺激してもIL-15の産生は促されなかったが、A549細胞ではIL-1βおよびTNFαの刺激で濃度依存的にIL-15産生の増加を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
継続している肺胞上皮細胞のcell lineおよび気管支上皮細胞のcell lineにおける刺激実験においてMDA5のリガンド(Poly I:C)や他のサイトカインの刺激時間や濃度調整、検討に想定以上に時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
肺上皮細胞cell lineにおけるサイトカイン刺激のタイムコースをかえてIL-15の挙動を検討していく。 現在未着手のマウスを用いた検討を進めていく。IL-15欠損マウスと野生マウスの肺の線維化の比較、また肺組織中の上皮細胞とマクロファージにおけるIL-15を 含めたサイトカインの評価を行なっていく方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
継続している肺胞上皮細胞のcell lineおよび気管支上皮細胞のcell lineにおける刺激実験に想定以上に時間を要したことにより、マウスを用いた検討が行えず、そのための費用がかかっていなかった。次年度においてマウスを用いた検討に着手していくため、マウス購入・維持、抗体の購入等に物品費を当てていく。また海外及び国内学会での発表回数も増やす予定であり、旅費にも使用していく。
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