多発性筋炎/皮膚筋炎はしばしば間質性肺炎(ILD)を合併し、中には急速進行性間質性肺炎(RPILD)を来たし、致死的な転帰を辿ることもある。我々は血清のサイトカインを用いた検討で、血清IL-15がRPILDと非RPILDを識別する重要なサイトカインであることを同定した。そのため多発性筋炎/皮膚筋炎関連RPILDにおける IL-15の機能解析を行なった。血清を用いた検討では、治療前後のRPILDの血清でのIL-15値の推移を検討したところ、治療後増悪した群(n=7)では有意にIL-15値は上昇していた。このことより 血清IL-15値の推移を確認することは治療反応を予測、反映することができると考えた。また気管支肺胞洗浄液中のIL-15値に関して、RPILD群(n=5)と非RPILD群(n=7)を比較したところ、RPILD群で有意に高値であった。このことより、RPILDの病態においてIL-15は肺局所においても産 生が亢進していることが示唆された。RPILD症例の診断時の肺組織およびRPILDで死亡した症例の剖検組織において、免疫染色でIL-15を染色したところ、上皮細胞、浸潤細胞ともに発現を認めた。IL-15は浸潤細胞、上皮細胞両者より産生されている可能性が示唆された。In vitroの系では肺胞上皮細胞のcell line(A549 細胞)および気管支上皮細胞のcell line(BEAS-2B細胞)をMDA5のリガンド(Poly I:C)で刺激してもIL-15の産生は促されなかったが、A549細胞ではIL-1βおよび TNFαの刺激で濃度依存的にIL-15産生の増加を認めた。この成果は英語論文として纏め英文誌「Journal of Internal Medicine」に発表した。 モデルマウスを用いた検討において、ブレオマイシンを気管支内投与することでの間質性肺炎の誘導をおこない、肺組織の線維化、炎症スコアの評価をおこない、間質性肺炎の誘導を均一におこなえるか評価した。今後IL-15ノックアウトマウスの作成をおこない、野生型マウスとの間質性肺炎の差異を確認していく方針である。
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