研究課題/領域番号 |
18K16157
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
神山 玲光 横浜市立大学, 医学部, 助教 (10739527)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 全身性エリテマトーデス / TRIM21 |
研究実績の概要 |
本研究では,①TRIM21のⅠ型IFN産生抑制作用に対する抗TRIM21抗体の影響,②miRNAによるTRIM27発現量の修飾,③TRIM39の機能解析,の3点について検討することにより,I型IFNの発現制御に重要と考えられるE3ユビキチンリガーゼTRIMファミリーおよびその関連分子のSLE病態における役割を解析することとしている。 昨年度は、Trim21欠失ループスモデルマウスやSLE患者検体を用い、TRIM21のSLE病態における役割についてB細胞を中心に検討した.Trim21欠失TRIM21 KO MRL/lprマウスを作製し、表現型の解析を行ったを野生型MRL/lprマウスと比較した。さらにマウス骨髄から樹状細胞を培養、脾臓からB細胞を分離してTLRアゴニスト等で刺激し実験を行い、細胞分画の変化、サイトカインおよび・Igの産生能をTrim21欠失マウスと野生型で比較した。ヒトにおいてさらに、SLE患者健常者の末梢血、抗Trim21抗体陰性SLE、抗Trim21抗体陽性SLEのPBMCから、B細胞を分離して同様の、刺激実験を行い、細胞分画の変化や、抗体Ig産生能を健常者と比較した。その結果、Trim21欠失RIM21 KO MRL/lprマウスは、野生型マウスと比較して、尿蛋白の増加、抗dsDNA抗体の上昇を示した。この自己免疫病態増悪の機序としてTrim21欠失マウス由来の、B細胞では野生型と比較して形質芽細胞への分化能や抗体産生能が亢進していた分化の関与が示唆された。また、ヒトの抗TRIM21抗体陽性SLE患者由来B細胞においてもでも、健常者や、抗TRIM21抗体陰性SLEと比較して、形質芽細胞への分化能亢進を来しや、抗体Ig産生能が亢進していたも増加したことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定していた実験はほぼ予定通り進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究において、SLE病態の形成においてはTRIM21の機能不全に伴うB細胞分化異常と抗体産生の亢進が重要であり、抗TRIM21抗体がそれに寄与している可能性が示唆された。今後以下の2点について研究を進める予定である。 ①免疫沈降法を用い、TRIM21と抗TRIM21抗体の免疫複合体の病態への関与を示す。 ②SLEの治療により病状が変化した場合におけるTRIM21の動態を示す。
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次年度使用額が生じた理由 |
いくつかの試薬(抗体試薬,ELISAキット)の納品が遅れているため,その費用分が次年度使用額として残った.
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