研究課題/領域番号 |
18K16165
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研究機関 | 熊本保健科学大学 |
研究代表者 |
田邊 香野 熊本保健科学大学, 保健科学部, 講師 (20761282)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | クラススイッチ / IgE / IgG4 / ホスファターゼ / CaMKII |
研究実績の概要 |
これまで使用していたB細胞株 M12ではDirect クラススイッチ (CSR) とsequence CSRの検討には適さないことが判明したため、IL-4刺激に反応性のあるヒトB細胞株 Ramosを用いて、IgEクラススイッチ (IgE CSR) およびIgG4クラススイッチ (IgG4 CSR) の有無を調べ、Direct CSRとsequence CSRの検証に有効であるか検討した。すると両クラススイッチとも誘導でき、Ramos細胞は本研究の検証に使用可能なツールであることが分かった。しかしIgE CSRの誘導と比較し、IgG4 CSRの誘導は非常に弱く、このままではDirect CSRとsequence CSRに関わる分子の検出は困難であることが想定された。そこでIL-4および抗CD40抗体の刺激に加え、IL-10の刺激を受けることでIgG4 CSRの誘導が増強されるという報告をもとに、現在条件を検討している。またこれまでクラススイッチの指標として、リアルタイムPCRを用いた検出方法のみ使用してきたがFCMやELISpotなど異なる手法による検出方法も用い、より多角的に検証できるように進行中である。 また「B細胞株を用いたIgE CSRにおけるCaMKIIターゲット分子の探索」に伴い、プロテインホスファターゼ (PP) の関与を示唆する結果を得ている。これを受け、Ramos細胞を用いてPP分子の発現を調べるとタンパクレベルでの発現を確認した。またIgEおよびIgG4 CSRを誘導する刺激に伴うPP活性を測定し、一定の知見を得ることができた。 さらに「CaMKIIノックダウン細胞株樹立と樹立株を用いたCSRへの影響検討」のためにElectroporation法を用いたプラスミドの導入条件の決定やsh CaMKIIプラスミドの準備など、細胞株樹立を行うための準備ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は新型コロナ感染拡大に対する対応業務により、十分な進捗が認められなかった。そのため本年度が最終年度ではあったが次年度への延長申請を行った。特に、「CaMKIIノックダウン細胞株樹立と樹立株を用いたCSRへの影響検討」では細胞株樹立と共に、CSRへの検討を行うはずだったが、細胞株を樹立する十分な時間を確保することが困難であった。また、「B細胞株を用いたIgE CSRにおけるCaMKIIターゲット分子の探索」ではCaMKIIターゲット分子として想定した分子のリン酸化の検出が困難であり、検出方法やターゲット分子の再考も踏まえて検討中である。 一方で、CaMKIIターゲット分子を同定するにあたりこれまで想定していなかったプロテインホスファターゼ分子の関与を示唆する知見を得て、それに伴うタンパクの発現や活性等を新たに明らかにした。またRamos細胞でIgE CSRおよびIgG4 CSRの誘導が可能であることが明らかとなったためDirect CSRとsequence CSRの検証がさらに進行すると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
まずは「CaMKIIノックダウン細胞株樹立と樹立株を用いたCSRへの影響検討」に伴い細胞株樹立を行う。樹立した細胞株によるクラススイッチの影響を検出するとともに、CaMKIIターゲット分子の検出にも本細胞株を利用する予定である。 またRamos細胞を用いて、Direct CSRとsequence CSRにCaMKIIがどのように関与しているかリアルタイムPCRを始め、フローサイトメトリーやELISpotなどを活用し、検証を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は新型コロナ感染拡大に対する対応業務により、エフォートが変更となり、十分な研究の進捗と時間の確保が困難であった。そのため本年度が最終年度ではあったが次年度への延長申請を行い、次年度使用額が生じた。次年度ではCaMKIIノックダウン細胞株樹立やRamos細胞を用いたDirect CSRとsequence CSRの解析などに用いる消耗品や試薬を中心に使用する予定である。
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