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2018 年度 実施状況報告書

RNA結合タンパク質Arid5aの肺高血圧症病態における役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K16168
研究機関国立研究開発法人国立循環器病研究センター

研究代表者

森 啓悦  国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 非常勤研究員 (00794330)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワードArid5a / 肺高血圧症 / 慢性炎症 / サイトカイン
研究実績の概要

肺高血圧症は、血管内膜および中膜が肥厚するで肺循環障害に至る難治性疾患である。近年は慢性炎症や免疫異常が病態形成に関与していることが示唆されている。他方、慢性炎症や免疫異常は、mRNAの転写後調節における異常が原因となりえることが示唆されている。Arid5aはサイトカインや転写因子のmRNAに結合して安定化に寄与する蛋白質であり免疫細胞の分化・機能に影響を与えている。以上のことから、本研究は肺高血圧症に対するArid5aの役割を解明し、慢性炎症・免疫異常の病態に対する理解が深めることを目的に行った。
VEGFR阻害剤として知られるSU5416の投与と低酸素刺激を組み合わせて作製する肺高血圧症誘導モデルを用いてArid5a欠損型マウスと野生型マウスを比較すると、肺動脈の血行動態を示す右室収縮期圧や、血管リモデリングを示す中膜肥厚の改善が認められていた。
次に、どのような分子機構によってArid5a欠損状態が肺高血圧症病態の改善に繋がるのかを解明していくため、免疫細胞と非免疫細胞(血管構成細胞)に分け解析を行った。具体的には、免疫細胞では、フローサイトメトリーを用いて各細胞の比率を確認し、qRT-PCRにより発現状態の変化を確認した。各細胞の比率に明らかな変化は認めなかったが、野生型と欠損型で遺伝子発現に変化があった。
一方で、血管構成細胞に関しては、フローサイトメトリーやレーザーマイクロダイセクションを用いて、内皮細胞の比率や、各種細胞の遺伝子発現変化を確認した。内皮細胞数は野生型と欠損型で差が認められなかったが、レーザーマイクロダイセクションを用いて回収した肺動脈周辺のサンプルでは血管新生などに関与する遺伝子に野生型と欠損型で変化が見られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

免疫細胞と非免疫細胞(血管構成細胞)に分けて研究を進めた。ある免疫細胞のレパトアにおいてフローサイトメトリーに用いる細胞内染色が困難だったため時間を要したが、染色方法などを変え解析ができるようになった。

今後の研究の推進方策

ⅰ)血管構成細胞におけるArid5aの役割:Arid5aコンディショナルノックアウトマウスを用いて、血管内皮、血管平滑筋、線維芽細胞特異的にノックアウトし、血行動態の変化を確認する。レーザーマイクロダイセクションの結果から注目した遺伝子に関し免疫組織染色による発現の確認を行う。肺動脈内皮細胞および平滑筋細胞の培養実験により同様の変化が認められるか確認する。Arid5aが目的遺伝子を転写後調節しているかを確認する。
ⅱ)免疫細胞におけるArid5aの役割:Arid5aコンディショナルノックアウトマウスを用いて、各種免疫細胞特異的にArid5aをノックアウトし、血行動態の変化を確認する。フローサイトメトリーを用いて注目する免疫細胞をソーティングし機能変化を確認する。Arid5aが目的遺伝子を転写後調節しているかを確認する。
ⅲ)Arid5a以外のRNA結合タンパク質との関係:RNA結合タンパク同士の調節機構を明らかにする。A) Arid5a欠損マウスと野生型マウスの肺から注目する免疫細胞・内皮細胞を分離し、低酸素刺激やVEGFR2阻害薬投与を行い、Arid5aの標的RNAを他のRNA結合タンパク質がどのように調整しているのかを検討する。
ⅳ)肺高血圧症患者肺におけるArid5aおよび関連分子の発現を解析する。申請者が所属している部が共同研究を行っている大阪大学医学系研究科呼吸器外科で肺移植を受けた肺高血圧症患者のレシピエント肺を用いて、Arid5aおよび関連が判明した分子の発現を解析する。

次年度使用額が生じた理由

年度内の使用金額を超えないように利用していたためにわずかながら繰越金額が生じた。2018年度の研究の進捗が比較的良い状況の為、研究の発展が見込まれ、前述した2019年度計画の実験内容の一部に充てる予定としている。

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公開日: 2019-12-27  

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