現存の抗ウイルス薬はHIVを根絶できないため、HIV感染を予防するワクチンの開発やHIVを排除可能な新たな完治療法が求められている。このためには、残存するウイルスの特徴を捉えることが重要である。私の母国であるタンザニアではHIV感染症が成人の5%に達することから、母国でコホートを作り、抗ウイルス療法(ART)下でウイルスが抑制された感染者(N=115)をリクルートした。残存するプロウイルス量を測定したところ、これまでに先進国で報告された値の範囲内であった。配列解析をしたところ、薬剤耐性変異はほとんど認められなかった。現在、全長のウイルスゲノムを増幅する条件検討を引き続き実施している。
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