研究課題/領域番号 |
18K16179
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
右山 洋平 熊本大学, 病院, 非常勤診療医師 (20779178)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 難治性気道感染症 / 緑膿菌 / 抗菌薬適正使用 / 薬剤耐性菌 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、薬剤耐性菌の増加が深刻な問題となっている緑膿菌による難治性気道感染症に対し、効果的かつ耐性菌を抑制できる抗菌薬適正使用法の開発を進めることである。前年度に引き続き、緑膿菌の定着状態と感染状態の臨床的な鑑別法、さらに感染のリスク因子の解析のため、熊本大学病院ICU入室中に人工呼吸器管理を受け、気道検体から緑膿菌が検出された重症患者の臨床データ収集を進めた。2004年1月から 2019年12月までの症例についてデータ収集が進んでおり、検出された菌量によって抗菌薬の治療効果が異なるか、統計解析を進めている。現時点では、人工呼吸器関連下気道感染症(Ventilator-associated lower respiratory tract infection:VA-LRTI)の中でも、気道への定着状態(コロナイゼーション)と人工呼吸器関連肺炎(Ventilator-associated pneumonia:VAP)の中間に位置する人工呼吸器関連気管気管支炎(Ventilator-associated tracheobronchitis:VAT)において、抗菌薬の有効性が菌量によって異なる結果が得られている。また、胸部レントゲンの画像スコアについても、VATで菌量と画像スコアの重症度について相関関係が見られている。 気道感染と緑膿菌のクオラムセンシング機構との関連性についての解明を行うため、緑膿菌標準株PAO1を用い、クオラムセンシング関連因子であるN-アシル-L-ホモセリンラクトンの定量系の構築も継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の流行による臨床業務や研究環境の変化のため、研究を行える時間や環境の制約が増えたため。
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今後の研究の推進方策 |
全症例に対し、より詳細な治療法(抗菌薬の種類、投与量、治療期間など)と予後(ICU死亡率、入院時死亡率、ventilator-free daysなど)との関連を傾向スコアやカプランマイヤー法などを用いて統計的に解析する。また、胸部CT所見と菌量の相関性についても解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
既存の資源の活用や物品調達などで、効率的な研究を推進したこと、及び学会参加がリモートになったことに伴って発生した未使用額である。
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