ピロリ菌の発見まで、“胃は無菌である”と長らく信じられてきた。本研究では、次世代シーケンス技術を応用した高解像度のゲノム解析を実施し、胃に生息する独自の細菌叢を同定することに成功した。また、アジア・アフリカ諸国との国際共同研究を遂行し、ピロリ菌の病原性だけでなく、胃細菌叢の構成も地域的に異なるという新たな知見を得ることができた。加えて、細菌数がごく少ない胃粘膜組織を用いた胃マイクロバイオーム解析に挑戦し、その解析技術を確立することができた。さらに、胃癌の発症には、ピロリ菌以外にも他の病原細菌が関与している可能性を明らかにし、胃癌発症機序の解明に繋がる新たな知見を広く世界に示すことができた。
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