• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

インフルエンザウイルス免疫応答におけるエピジェネティック制御機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 18K16184
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

西岡 敬介  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50790713)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードインフルエンザウイルス / エピジェネティクス / 免疫応答
研究実績の概要

インフルエンザウイルスの重症化リスクファクターとしてエピジェネティックステートに着目し解析を進めてきた。同一の遺伝的背景をもつ気管支上皮細胞から樹立した不死化細胞のうち感染後のインフルエンザウイルス増殖性が大きく異なる2株を用いて、感染前の特定部位のエピジェネティックステートの感染への関与を検討している。昨年度までに、5-アザ-2デオキシシチジンを用いてゲノムワイドに脱メチル化を誘導すると、IFN-β産生量増加することでウイルス増殖を抑制すること、感受性の異なる株間でIFN-β産生のシグナルパスウェイではTLR3, IRF7, IL-1β, IL-6, IFN-βの遺伝子が大きく発現が異なっていることを報告した。
これら遺伝子のプロモーター部位におけるCpGメチル化ステートを解析したところ、IRF7とIFN-βは高メチル化ステートを示したが、その他の遺伝子はメチル化がほとんど見られず、脱メチル化の影響はIRF7とIFN-βが強く受けていることが考えられた。株間の比較では、IFN-βの-270、IRF7の-411に位置するCpGメチル化割合が高感受性細胞で高いことがみられたが、IFN-βの+21, +54, +64、IRF7の-578~-316のCpGではどちらの細胞も高メチル化状態であることが観察され、大きな差がないことがわかった。そこで、CpGおよび高メチル化状態のIFN-βの+21, +54, +64、IRF7の-578~-316のCpGを標的とした脱メチル化処理を行ったところ、IFN-βのmRNAの発現上昇が見られ、インフルエンザウイルス感染後の複製ウイルスコピー数の低下も見られた。遺伝的背景が異なる一般的な呼吸器細胞株であるHEp-2細胞においても同様の効果がみられたことから、特定のCpGメチル化ステートの変化により、ウイルス感染防御が誘導されることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

季節性インフルエンザにおけるメチル化ステートの関与は報告したが、高病原性鳥インフルエンザウイルスは病原性が高く、同様の手法では評価困難なことがわかった。導入方法の検討、条件の検討を行っているが、未だ評価方法の確立に至っていない。確立に至らない場合は、エピジェネティックステートを変化させる因子の同定に重点を置き解析を行う予定としている。

今後の研究の推進方策

高病原性鳥インフルエンザウイルスにおける評価法の検討を行うとともに、エピジェネティックステートを変化させる因子に着目し研究を推進する。特に、細菌叢の変化はエピジェネティックステートに関与することは知られており、細菌の産物に着目する。

次年度使用額が生じた理由

高病原性鳥インフルエンザウイルスにおける評価が行えなかったため、他の評価法の検討の必要性がある。そのため、その予算を次年度に使用する。評価系が確立できなかった場合は、エピジェネティックステートを変化させる因子に着目して計画を推進することも考えており、引き続き次年度も解析を行う。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Unique patterns of lower respiratory tract microbiota are associated with inflammation and hospital mortality in acute respiratory distress syndrome2019

    • 著者名/発表者名
      Kyo Michihito、Nishioka Keisuke、Nakaya Takaaki、Kida Yoshiko、Tanabe Yuko、Ohshimo Shinichiro、Shime Nobuaki
    • 雑誌名

      Respiratory Research

      巻: 20 ページ: 246

    • DOI

      10.1186/s12931-019-1203-y

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Demethylation around the transcriptional start site of the IFN-β gene induces IFN-β production and protection against influenza virus infection2019

    • 著者名/発表者名
      Nishioka Keisuke、Daidoji Tomo、Nakaya Takaaki
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 520 ページ: 269~276

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2019.09.136

    • 査読あり
  • [学会発表] インフルエンザウイルス免疫応答に関与するエピジェネティックステートの解析2019

    • 著者名/発表者名
      西岡 敬介
    • 学会等名
      日本ウイルス学会

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi