研究課題/領域番号 |
18K16195
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
井田 昌吾 滋賀医科大学, 医学部, 客員助教 (90792028)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | O-GlcNAc修飾 / β細胞 / α細胞 |
研究実績の概要 |
1. 膵α細胞におけるO-GlcNAc修飾の糖代謝における役割の解明 Glucagon-CreマウスとOgt-floxマウスを交配し、膵α細胞特異的Ogt欠損マウス(Ogt-αKO)を作成した。このマウスにおいてOGTタンパクならびにO-GlcNAc修飾が膵α細胞特異的に欠損しているかを免疫染色で確認した。しかしながら、多くのGlucagon発現細胞でO-GlcNAc修飾が確認された。そこでさらにTd-tomato reporter mouseを用いてCreの発現効率を評価したがいずれも不十分な結果であった。そこで現在本実験に関してはin vivoの実験をいったん停止し、原因解明とin vitroの実験系の立ち上げを検討中である。 2. 膵β細胞におけるO-GlcNAc修飾の糖代謝における役割の解明 タモキシフェン誘導性膵β細胞特異的Ogt遺伝子欠損マウス(Ogt-βKO)は誘導後5-6週にインスリン分泌亢進による一過性の血糖低下とそれに引き続く体重増加、8-9週目以降に体重減少ならびに血糖上昇を認めるという2相性の変化を示す。そこで初期に認められるインスリン過剰産生・分泌が最終的なβ細胞の疲弊を惹起しインスリン分泌低下、β細胞死をきたしている可能性を検討するためジアゾキサイド投与によりインスリン分泌を抑制し、その後のインスリン分泌・β細胞死に与える影響を検討している。さらに高齢マウスにおいても若年マウスと同様に一過性のインスリン分泌亢進とその後の枯渇、体重の一過性の増加とその後の減少と言った表現系が再現されることを見出している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
膵α細胞におけるO-GlcNAc修飾の役割に関しては、残念ながらin vivoの系が十分に機能していないことが判明した。現時点ではその原因の究明及び改善方法を模索しつつ、in vitroの系を用いてO-GlcNAc修飾の役割を評価できないか検討を行っている。 膵β細胞におけるO-GlcNAc修飾の役割に関しては、現時点でいくつか発見はあるのの、Ogt-βKOマウスで認めた二相性の表現型を説明しうる機序の糸口をつかめていない。よってやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
1. 膵α細胞におけるO-GlcNAc修飾の糖代謝における役割の解明 前述の通り、in vitroの系を立ち上げO-GlcNAc修飾の過剰・不足がグルカゴン分泌を初めとしたα細胞の機能や構造に与える影響を評価する。しかし、現時点で膵α細胞のcell lineは十分に実際のα細胞を模したものとは言い難いため、in vivoの系の確立も並行して模索する。 2. 膵β細胞におけるO-GlcNAc修飾の糖代謝における役割の解明 Ogt-βKOで見られる一過性のインスリン分泌の亢進がβ細胞に負荷を与え、その後に起こるβ細胞死の原因になるとの仮説のもと、インスリン分泌亢進を抑制するためジアゾキサイドを投与しその後の表現型の変化を評価する。同時に引き続き、二相性の表現型変化の原因検索を行う。
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