1. 膵α細胞におけるO-GlcNAc修飾の糖代謝における役割の解明 膵β細胞においてO-GlcNAc修飾はインスリンの分泌並びにβ細胞の恒常性に重要な役割を果たしていることを申請者らは過去に報告している。その実験の過程において膵β細胞同様、糖代謝に影響を与える膵α細胞においてもO-GlcNAc修飾が認められることを発見した。そこで膵α細胞におけるO-GlcNAc修飾の役割を検討するため、膵α細胞特異的Ogt欠損マウス(Ogt-αKO)を作成しその表現形を解析することとした。初めにこのマウスでO-GlcNAc修飾が膵α細胞特異的に欠損しているか確認したが、多くのα細胞でO-GlcNAc修飾の残存が確認された。そこでさらにTd-tomato reporter mouseを用いてCreの発現を評価したところ発言が不十分であった。そこで現在本実験に関してはin vivoの実験をいったん停止している。他の系統のGlucagon-Creマウスを入手することも検討している。 2. 膵β細胞におけるO-GlcNAc修飾の糖代謝における役割の解明 タモキシフェン誘導性膵β細胞特異的Ogt遺伝子欠損マウス(Ogt-βKO)は誘導後5-6週にインスリン分泌亢進による一過性の血糖低下とそれに引き続く体重増加、 8-9週目以降に体重減少ならびに血糖上昇を認めるという2相性の変化を示す。そこで初期に認められるインスリン過剰産生・分泌が最終的なβ細胞の疲弊を惹起しインスリン分泌低下、β細胞死をきたしている可能性を検討するためジアゾキサイド投与によりインスリン分泌を抑制し、その後のインスリン分泌・β細胞死 に与える影響を検討した。しかしながら、現時点では明らかな変化は認めていない。
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