研究課題/領域番号 |
18K16196
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鈴木 和代 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (90813866)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 代謝 / 肥満 / インクレチン / GIP / mTOR |
研究実績の概要 |
Gastric inhibitory polypeptide (GIP; 別名 glucose dependent insulinotropic polypeptide)はインスリン分泌促進作用・脂肪組織へのエネルギー蓄積作用を有しており、脂肪摂取は腸管内分泌K細胞からのGIP分泌を増強する。GIP受容体欠損マウスは高脂肪食負荷による体重増加が抑制されたことから、GIPは催肥満ホルモンであると言える。GIP合成・分泌機序の解析が緒に就き、cAMP濃度の上昇がGIP分泌を促進することがin vitroおよびin vivoで示唆されているが、詳細なシグナル伝達機構は未だ不明である。本研究課題は、K細胞においてcAMP濃度上昇を、生物種を越えて存在し細胞内栄養状態を関知して代謝調節する主要なリン酸化伝達経路mammalian target of rapamycin (mTOR)シグナルが感知してGIP合成・分泌に関与しているという仮説を検証すべく、はじめにcAMP濃度上昇を同じく生体のエネルギーセンサーとして機能するAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)/mTORC1シグナルが脂肪摂取時のGIP分泌に関与しているか明らかにする。 初年度はマウス腸管内分泌腫瘍株STC-1を用いてmTOR系を抑制条件または促進条件にした際のGIP合成・分泌の評価を開始した。STC-1細胞を、既報を参考にmTOR阻害剤rapamycinを0.625-10nmol/lにて添加した培地で24時間の培養後に、細胞タンパクを回収しwestern blot法にてGIP合成を評価した。Rapamycin 0.625nmol/lの添加にて、24時間後のphospho-S6は抑制されていることからmTOR系の抑制を確認したが、GIP発現量に一定した結果を得られず実験条件や使用する抗体の選定を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでにSTC-1を用いたmTOR抑制および促進の実験系の報告はまだ少なく、実験条件の設定に時間を要している。また、GIPは42アミノ酸残基からなるポリペプチドであり、western blot法にての検出条件も検討が必要な状況である
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今後の研究の推進方策 |
引き続きin vitroの実験系の確立を継続し、mTOR系によるGIP合成の調節が確認されなかった場合にもGIP合成分泌に関わる既往因子の解析を進める。
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