研究課題
食事摂取に応答して腸管内分泌細胞から分泌され、血糖値依存性に膵β細胞に発言する特異的受容体を介してインスリン分泌促進作用(インクレチン効果)を有するペプチドホルモンとしてGastric inhibitory polypeptide (GIP; 別名 glucose dependent insulinotropic polypeptide)とGlucagon-like peptide-1(GLP-1)が知られている。腸管由来のペプチドは100種類以上が発見されており、それらのアミノ酸配列の相同性からいくつかのファミリーに分類され、GIPやGLP-1はglucagon(Gcg) familyに属する。本研究課題は腸管内分泌K細胞においてGIP合成・分泌に、生物種を越えて存在し細胞内栄養状態を関知して代謝調節する主要なリン酸化伝達経路mammalian target of rapamycin (mTOR)シグナルが感知して関与しているという仮説を検証することを目的としている。一方で、既報ではげっ歯類や細胞株を用いて腸管内分泌L細胞からのGLP-1産生をmTORシグナルが調節していることが報告されている(Xu G. et al,. Diabetologia. 2015)。マウス腸管内分泌腫瘍株STC-1を用いてmTOR系を抑制した際のGcg合成・分泌の評価を行った。初年度と同様の条件にて、Gcgはrapamycin 0.625-10nmol/l添加し24時間後に合成の抑制や亢進を認めなかった。今後は再度にGIPおよびGLP-1についての評価を行う予定である。
4: 遅れている
これまでにインクレチンとmTOR抑制および促進の実験系の報告はまだ少なく、STC-1細胞を用いた実験条件の設定に苦慮している。また、GIPは42アミノ酸残基からなるポリペプチドであり、western blot法にての検出は困難でありその他の検出系の検討が必要な状況である。
引き続きin vitroの実験系の確立を継続し、mTOR系によるGIP合成の調節が確認されなかった場合にもGIP合成分泌に関わる既往因子の解析を進める。
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