研究課題
骨組織におけるGIP(Gastric inhibitory polypeptide)の生体内での役割を明らかにするために、floxed GIP受容体マウスとCollagen of skin, tendon & bone, type I (Col1a1)-Creトランスジェニックマウスを交配させて、骨芽細胞特異的GIP受容体欠損マウスを作製した。このことにより、骨芽細胞のGIP作用についてin vivoで検討することを目的としている。骨芽細胞特異的GIP受容体欠損マウスの表現型を解析した。まず、各臓器のGIP受容体の発現量を検討したが、野生型 (floxed GIP受容体) マウスと比較して、骨芽細胞特異的GIP受容体欠損マウスでは骨、膵島、脳、腸、内臓脂肪、皮下脂肪、褐色脂肪の各臓器でのGIP受容体発現量に有意差を認めなかった。次に、軟X線を用いて骨芽細胞特異的GIP受容体欠損マウスの全身骨長を測定したが、こちらも野生型マウスと比較して有意差を認めなかった。さらに、骨芽細胞特異的GIP受容体欠損マウスと野生型マウスに対して糖負荷試験を行い、糖代謝を解析したが、耐糖能、GIP、インスリン分泌能、いずれにも有意差を認めなかった。また、μCT解析装置を用いて骨密度解析を行ったが、こちらも有意差を認めなかった。一方、骨芽細胞培養、破骨細胞培養、cell lineでのGIP受容体発現を確認したが、これまでに報告があったGIP受容体発現は、初代培養を用いても確認することができなかった。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通りに遂行している。
GIPから骨組織へのシグナルは、直接骨に発現する受容体を介するのではなく、間接的に作用している可能性があり、介在するその他の液性因子など(副甲状腺ホルモンなど)が考えられた。今後、GIP欠損マウスを長期観察するマウスにおいての骨組織へ影響などを解析していく。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
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