研究実績の概要 |
最終年度は主に臨床的な検討、解析を行った。2型糖尿病男性246例のうち、骨代謝未評価、骨粗鬆症治療中、eGFR 30ml/min/1.73m2未満は除外し212例を検討した。血中TGF-β1濃度はELISA法にて測定した。糖代謝、Ca代謝指標、骨代謝マーカー、骨密度および椎体骨折の有無を評価し、TGF-β1濃度との関係を解析した。212例の平均年齢 62.6歳、罹病期間 11.8年、HbA1c 9.3%。骨粗鬆症、椎体骨折、多発椎体骨折者数はそれぞれ88例、75例、34例。血中TGF-β1濃度は年齢(r=-0.25)、罹病期間(r=-0.17)と負相関、BMI(r=0.16)、eGFR(r=0.18)、TRACP-5b(r=0.19)と正相関を認めた(全てp<0.05)。骨密度とは相関しなかった。血中TGF-β1濃度は椎体骨折あり群となし群(49580, 49810pg/mL)、骨粗鬆症あり群となし群(48505, 50604pg/mL)で差を認めなかった。この原因として、TGF-β1濃度に影響を及ぼす様々な因子、具体的には網膜症や腎症などの合併症、投与中の傾向血糖降下薬などの薬剤が血中濃度に影響したものと考えられた。今回の腱にでは、男性例約200例の検討にて、血中TGF-β1濃度と椎体骨折、あるいは骨粗鬆症との関連を見出せなかった。血中TGF-β1以外のTGF-β、具体的にはTGF-β2、TGF-β3と骨折あるいは骨粗鬆症との関連について、次なる課題と設定し、現在ELISA kitを用いて検討を行っている。
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