過剰の内臓脂肪蓄積は肝臓における慢性炎症・線維化を悪化させ、非アルコール性肝炎(NASH)病態の進行に関与する。本研究では肥満マウス脂肪組織のDNAマイクロアレイ解析より分泌タンパク質MFG-E8(Milk fat Globule EGF-8)を同定し、そのNASH病態への関与を検討した。MFG-E8欠損マウスを用いてNASHモデルマウスを作成したところ、肝臓における炎症性サイトカイン発現の低下、浸潤したマクロファージの減少、繊維化の程度や病理スコアの改善、平均生存期間の延伸などが観察された。以上より、MFG-E8は肝臓での炎症・線維化の状態に影響することでNASH病態に関与すると示唆された。
|