研究課題/領域番号 |
18K16207
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
湯通堂 紀子 九州大学, 生体防御医学研究所, 特任助教 (00631649)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ミトコンドリア / インスリン抵抗性 / 時系列データ / マルチオミクス / エピゲノム / トランスクリプトーム / プロテオーム |
研究実績の概要 |
本研究は、マウスの肝臓で肥満からインスリン抵抗性が生じる過程における、ミトコンドリアOXPHOS経路のヒストン修飾、遺伝子発現、タンパク質発現の変化を解析し、その制御メカニズムを解明することを目的としている。データ取得はエピゲノムデータを中心に行う。データ解析にはエピゲノムデータに加えて、解析対象の異なる他プロジェクトで取得し共用予定の、トランスクリプトームデータ及びプロテオームデータを用いる。 当該年度は、エピゲノムデータの測定(ChIP-seq)と、3階層オミクスデータ(エピゲノムデータ・トランスクリプトームデータ・プロテオームデータ)の解析を行った。高脂肪食給餌による肥満マウス及び通常食給餌のコントロールマウスから、経時的に採取した肝臓組織を、凍結粉砕後に分配して、それぞれ解析用サンプルとして用いた。4種のヒストン抗体を用いてChIP-seqを行い、時系列のエピゲノムデータを取得した。解析対象の異なる他プロジェクトで、上記で分配したサンプルを用いてトランスクリプトームデータ・プロテオームデータを取得し、本研究で共用した。 上記3階層オミクスデータのクオリティチェックを行い、解析に十分なクオリティであることを確認した。3階層オミクスデータの定量値を算出し、肥満の進行に伴う時系列の分子の変動を解析した。各階層データで、当初想定していたミトコンドリアOXPHOS経路関連分子だけでなく、その他のミトコンドリア代謝経路関連分子も変動することがわかった。エピゲノムデータの一部は、当初予定していた解析方法では正確に定量値を算出できないことが分かったため、より適切と思われる方法で再解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
健常コントロールマウスと、軽度から重度の肥満マウス(肥満進行の時系列)の肝臓粉末サンプルを用いてChIP-seqを行う際に、各サンプル群の脂肪含有量が大きく異なることから、ChIPの条件検討に想定よりも時間がかかり、測定時期が遅延したため。 またChIP-seqデータ解析で、当初予定していた解析方法では検出することが難しいデータがあり、解析の方法を検討する必要が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
ChIP-seqデータの解析方法を検討する必要が生じたため、解析に詳しい共同研究者の助言を受けて、より適切と思われる複数の解析方法で再解析を行なっている。 当初ミトコンドリアOXPHOS経路関連分子の変動を対象にデータ解析する予定だったが、関連するミトコンドリア代謝経路関連分子にも変動が見られたので、解析対象を広げて解析を行う。各階層で変動が確認されたミトコンドリア代謝経路関連分子の、3階層間での関連を詳しく解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ChIP-seqのデータ測定が予定より遅れたことから、予定していた学会等への参加がなくなり、旅費を使用しなかったため。また、データ解析にも遅れが生じ、購入予定であった解析用のソフトウェア・機器を購入しなかったため。 次年度使用額は、データ解析用のソフトウェア・機器の購入費と、学会等参加のための旅費として使用予定である。
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