研究課題
グレリンは胃から分泌される摂食亢進ホルモンである。分泌されたグレリンはオクタン酸修飾されることによって活性型となり、この活性型グレリンがグレリン受容体に結合するよって細胞内にシグナルを伝達する。一方で、脂肪酸修飾を受けていないグレリンは、受容体によって結合することができない。このように脂肪酸修飾の有無によって活性が制御されるホルモンはグレリンのほかに報告されていない。本研究は、構造生物学の手法を用いて、グレリンが結合したグレリン受容体の立体構造を明らかにすることで、オクタン酸グレリンがどのようにして受容体を刺激するのか明らかにしようというものである。当初、X線結晶構造解析法によって立体構造の決定を試みていたが、グレリン受容体の結晶化がうまく進まなかった。そこで、2017年に確立されたCryo-EM法を用いてグレリン受容体の立体構造決定を試みた。グレリン受容体とGqタンパク質を共発現・共精製して、Cryo-EM用のグリッドに展開した。Talos Arcticaで粒子観察し、その後、得られた粒子をRelion3.0で解析したところ、グレリンと結合状態にあるグレリン受容体の立体構造を4.5オングストローム分解能で決定することができた。今後さらに高分解能での解析が必要であるが、グレリン受容体はリガンド結合部位が2つに分割された特徴的なポケット構造をしていて、このうち片方がグレリンのペプチド部分を、もう片方がオクタン酸部分を収納していることがわかった。
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