セレノプロテインPが褐色脂肪組織での適応熱産生に与える影響を検討し、以下のことを明らかにした。 (1) セレノプロテインPが欠損したマウスは寒冷下での体温の上昇と活性型UCP1の増大を呈した。(2) セレノプロテインPを欠損した褐色脂肪細胞ではノルアドレナリン応答性の熱産生が亢進した一方、褐色脂肪細胞へのセレノプロテインP投与では熱産生が障害された。(3) 褐色脂肪細胞へのノルアドレナリン投与は熱産生を刺激する生理的な活性酸素産生を誘導した。セレノプロテインPはこの有用な活性酸素を消去した。 本研究はセレノプロテインPが過剰な抗酸化能によって還元ストレスを惹起し熱産生を障害することを明らかにした。
|