褐色脂肪組織特異的OGT欠損マウスに高ショ糖高脂肪食を長期間投与し食事誘導性肥満モデルを作製した。対照マウスに比して、体重や糖代謝において有意な差は認めなかったが、寒冷負荷不耐性に関しては通常食摂取下と同様で、3時間以上の寒冷暴露による低体温のため死亡する個体も認めた。メタボリックケージを用いて寒冷環境下における代謝及び熱産生の変化を解析したところ、褐色脂肪組織特異的OGT欠損マウスは対照マウスに比して、通常食及び高ショ糖高脂肪食摂取いずれの状態においても、4度下ではVO2、VCO2、熱産生を表すHeatに関して継時的に有意な低下を認めた。RERに関しては、通常食及び高ショ糖高脂肪食摂取いずれの状態においても褐色脂肪組織特異的OGT欠損マウスにて高値を示しており、糖利用の亢進が示唆された。 長期的な寒冷暴露として、12度、自由摂食下で2週間は生存可能であったことから、その条件下にて検討を行ったが、褐色脂肪組織特異的OGT欠損マウスおよび対照マウスにおいて長期的に見た熱産生に関しては有意な差はなかった。 O-GlcNAc修飾のGain-of-functionによる影響を検討するため、OGA-floxマウスと褐色脂肪細胞特異的Cre発現マウスを交配し、褐色脂肪細胞特異的OGA欠損マウスを作製した。対照マウスに比して、体重や糖代謝において有意な差は認めなかったが、メタボリックケージでの検討で、寒冷環境下では対照マウスに比して、寒冷負荷数時間後より熱産生の亢進を認めることがわかった。O-GlcNAc修飾の亢進による熱産生亢進の可能性を考慮し、組織学的評価や詳細なメカニズムに関して、現在検討を継続している。 さらに、褐色脂肪組織特異的OGT欠損マウスと対照マウスの慣例環境下にて採取した褐色脂肪組織のサンプルにてメタボローム解析を行った。
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