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2020 年度 実施状況報告書

視床下部下垂体相互作用におけるFGFシグナルの病態生理学的意義の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K16232
研究機関京都大学

研究代表者

松本 隆作  京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (20801088)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード下垂体発生 / FGF / 視床下部 / 口腔外胚葉 / iPS細胞
研究実績の概要

2020年度はこれまで着目してきたFGF8, FGF10, FGF18の下垂体発生における機能解析を進めると同時に、空間的トランスクリプトーム解析による網羅的解析を行い、視床下部-下垂体という位置情報に着目した上で発生に関わり得る新規因子の同定を試みた。
1) これまでヒトiPS細胞を用いてFGF8,10,18の下垂体発生における機能解析を行ってきたが、iPS細胞は株間において性質がばらつくことが知られているため、複数株を樹立しこれまでに得られた表現型を確認することができた。
2)これまでに得られた結果から最も影響の強いFGF8に着目し、FGF8がどの時期にどういった役割を持つのかを詳細に検討するため、タモキシフェン誘導性にFGF8をノックアウトすることのできる遺伝子改変iPS細胞の樹立に取り掛かった。
3) 2020年度は新たにヒトiPS細胞から誘導した視床下部-下垂体組織を用いて空間的トランスクリプトーム解析を行った。これによってFGFを含むヒト視床下部に発現する因子を網羅的に同定した。これまでに解析を行ったFGF8,10,18に加え、FGF17,FGF19の下垂体発生における役割が推察されたため、それらのノックアウトiPS細胞を作成し下垂体発生における役割を検討したが下垂体への分化能は保たれていた。
4) 空間的トランスクリプトームの結果からFGFファミリー以外にも視床下部下垂体間相互作用に関わり得る遺伝子群が同定された。視床下部と口腔外胚葉をそれぞれGFPとmCherryで標識したデュアルレポーター株の作成に成功しており、視床下部と口腔外胚葉を分離あるいは共培養することで同定した新規候補因子についてもそれらの機能解析も並行して進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定していたFGFファミリーの機能解析は順調に進んでいる。
さらに、2020年度は新たに空間的トランスクリプトーム解析を行うことによって、FGFファミリー以外にも視床下部下垂体間相互作用に関わりうる遺伝子群を網羅的に同定することができた。これらによって新たな発生メカニズムを提唱できる可能性があり、精力的に解析を進めていく予定である。

今後の研究の推進方策

これまでの検討から視床下部に発現するFGF8、FGF10がヒト下垂体発生において重要な役割を持つことが明らかとなった。特にFGF8に着目して詳細なメカニズム解明に取り組んでいる。また、並行して視床下部下垂体間相互作用に関わり得るFGFファミリー以外の因子についても検討を進めていく。これらの因子については先天性下垂体機能低下症の新規原因遺伝子である可能性もあるため症例における検討も進めていく。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Human pituitary development and application of iPSCs for pituitary disease2020

    • 著者名/発表者名
      Matsumoto Ryusaku、Takahashi Yutaka
    • 雑誌名

      Cellular and Molecular Life Sciences

      巻: 78 ページ: 2069~2079

    • DOI

      10.1007/s00018-020-03692-8

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Spatial Transcriptomics for the Analysis of Human Pituitary Development2021

    • 著者名/発表者名
      Ryusaku Matsumoto、Mio Kabata、Hidetaka Suga、Takuya Yamamoto
    • 学会等名
      ENDO 2021
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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