研究実績の概要 |
2020年度はこれまで着目してきたFGF8, FGF10, FGF18の下垂体発生における機能解析を進めると同時に、空間的トランスクリプトーム解析による網羅的解析を行い、視床下部-下垂体という位置情報に着目した上で発生に関わり得る新規因子の同定を試みた。 1) これまでヒトiPS細胞を用いてFGF8,10,18の下垂体発生における機能解析を行ってきたが、iPS細胞は株間において性質がばらつくことが知られているため、複数株を樹立しこれまでに得られた表現型を確認することができた。 2)これまでに得られた結果から最も影響の強いFGF8に着目し、FGF8がどの時期にどういった役割を持つのかを詳細に検討するため、タモキシフェン誘導性にFGF8をノックアウトすることのできる遺伝子改変iPS細胞の樹立に取り掛かった。 3) 2020年度は新たにヒトiPS細胞から誘導した視床下部-下垂体組織を用いて空間的トランスクリプトーム解析を行った。これによってFGFを含むヒト視床下部に発現する因子を網羅的に同定した。これまでに解析を行ったFGF8,10,18に加え、FGF17,FGF19の下垂体発生における役割が推察されたため、それらのノックアウトiPS細胞を作成し下垂体発生における役割を検討したが下垂体への分化能は保たれていた。 4) 空間的トランスクリプトームの結果からFGFファミリー以外にも視床下部下垂体間相互作用に関わり得る遺伝子群が同定された。視床下部と口腔外胚葉をそれぞれGFPとmCherryで標識したデュアルレポーター株の作成に成功しており、視床下部と口腔外胚葉を分離あるいは共培養することで同定した新規候補因子についてもそれらの機能解析も並行して進めている。
|