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2018 年度 実施状況報告書

アンドロゲンの糖代謝制御機構の解明と治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 18K16235
研究機関徳島大学

研究代表者

吉田 守美子  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 講師 (40510904)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワードアンドロゲン / 耐糖能異常
研究実績の概要

男性のアンドロゲン欠乏はインスリン抵抗性や耐糖能異常を引き起こすが、除脂肪体重減少や内臓脂肪増加に起因するだけでなく、アンドロゲンの骨格筋への直接作用も重要と考えられる。そこで骨格筋におけるアンドロゲンの糖代謝制御メカニズムの詳細を動物モデルを作成し検討した。方法は、骨格筋特異的アンドロゲン受容体欠損雄マウス(AR flox×MLC1f-Cre:ARKO skl)を作成し、通常食あるいは高脂肪食負荷を与えて肥満・インスリン抵抗性・耐糖能異常を誘導した。
現在までの結果:ARKO sklはコントロールと比較して、通常食でも高脂肪食でも、体重、CTによる内臓脂肪面積・皮下脂肪面積、精巣上体脂肪重量、下肢骨格筋重量・容積、肝臓中性脂肪含有量に有意差を認めなかった。インスリン抵抗性試験(ipITT)では、コントロールと比較してARKO sklで有意にインスリン抵抗性を認め、高脂肪食負荷8週での糖負荷試験(ipGTT)でARKO sklにおいて有意に耐糖能の増悪を認めた。またARKO sklの大腿四頭筋CT値がコントロールと比較して低値であり、脂肪筋化が示唆された。ARKO sklではインスリン分泌能の低下はなく、耐糖能異常はインスリン抵抗性に起因すると考えられた。PETイメージングを用いて骨格筋グルコース取り込み能を評価したところ、大腿部筋へのFDGの集積はコントロールと比較してARKO sklで低下し、インスリン投与後のFDG集積増加もARKO sklで低下した。さらに、ARKO sklではインスリン刺激後の骨格筋のAktリン酸化が減弱した。これらの結果より、骨格筋でのアンドロゲン受容体欠損は、骨格筋グルコース取り込みの低下、インスリンシグナルの減弱、骨格筋異所性脂肪蓄積の増加を介して、耐糖能異常・インスリン抵抗性に関与することが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は、臓器特異的アンドロゲン受容体欠損マウスを用い、男性ホルモンの骨格筋・肝臓における糖代謝制御機構を明らかにすることであり、骨格筋での糖代謝制御におけるアンドロゲンの意義が解明されつつある。
男性ホルモン低下症患者に対する耐糖能異常の改善を目的とした、テストステロン補充療法の有効性と安全性の検討は、症例数はまだ少ない。

今後の研究の推進方策

骨格筋でのアンドロゲン受容体欠損で、骨格筋グルコース取り込みの低下、インスリンシグナルの減弱、骨格筋異所性脂肪蓄積の増加が生じる機序の詳細を検討する予定である。具体的には動物モデルの骨格筋の蛋白やmRNAの解析、横紋筋培養細胞を用いてのアンドロゲン受容体欠損でグルコース取り込みやインスリンシグナルがどう変化するのかを検討する。
さらに臨床研究では、男性ホルモン低下症患者へのテストステロン補充療法の症例の蓄積を重ね、インスリン抵抗性・インスリン分泌能の変化を詳細な検討をすすめる。

次年度使用額が生じた理由

動物実験の回数が予定より少なくなったために、使用額が予定より少なくなった。その分、2019年度に動物実験の回数を増やす予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 骨格筋アンドロゲン受容体と耐糖能異常の検討2019

    • 著者名/発表者名
      吉田守美子,粟飯原賢一, 安倍正博
    • 学会等名
      第92回日本内分泌学会学術総会
  • [学会発表] 心血管病と性差 ~アンドロゲンを中心に~2019

    • 著者名/発表者名
      吉田守美子,粟飯原賢一, 安倍正博
    • 学会等名
      第61回日本老年医学会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] アンドロゲン受容体は骨格筋の糖取り込みに関与する2018

    • 著者名/発表者名
      吉田守美子,粟飯原賢一
    • 学会等名
      第36回内分泌代謝学サマーセミナー

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公開日: 2019-12-27  

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