研究課題
本研究では、膵β細胞などにより構成されている膵島には、インスリン分泌能や膵β細胞増殖能の異なる複数のサブタイプが存在し、それらが膵臓内の解剖学的な空間的位置により規定されていることを想定した。本研究の目的では、空間的位置に伴う膵島の不均一性(ヘテロジェネイティー)を、構造、機能、増殖・分化転換・生存等の可塑性の観点から解析し、さらに、それらの分子機構や発生学的機序を検討した。マウスの膵臓を十二指腸付着部の頭部、脾臓付着部の尾部、中心部の体部の3つの領域にそれぞれが均一の重量になるように分類し、別々に、頭部、体部、尾部の3領域の膵島単離をそれぞれ施行した。また、マウスの全身臓器を心臓から灌流固定した後に、生体内の解剖学的位置が保たれた状態で膵全体を周辺臓器とともに摘出し、十二指腸付着部、脾臓付着部、体部の3領域を上記と同じ位置で分類し、組織学的な解析を行った。以上の解析により、マウスにおいて膵島は均一な集団ではなく、形態的にも、さらにインスリン分泌能や膵β細胞増殖能においても不均一であり、それらは膵臓の解剖学的な空間的位置により規定されていることを見出した。また、各膵島のサブタイプの病態における特性を解析することにより、特定の膵島サブタイプに特異的な遺伝子発現変化を同定した。また、ヒト単離膵島においてもその遺伝子発現を確認した。現在、膵島の不均一性から制御される膵β細胞の分化転換の制御機構について、蛍光トレーサーマウスを用いて解析を続けている。
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