研究課題
最終年度は、性成熟疾患を含む内分泌疾患とエピジェネティック異常との関連を調べるため、下記に挙げる研究を行った。①X染色体構造異常がSHOX上流のDNAメチル化状態に影響を与えるか否かを明らかにするため、X染色体微細構造異常患者10例、健常成人9例と健常小児40例を対象にSHOX上流CpGサイトのDNAメチル化解析を行った。その結果、健常成人群および健常小児群の同領域は低メチル化状態であり、X染色体微細構造異常患者群のDNAメチル化状態は健常成人群および健常小児群と同等であることを見出した。したがって、X染色体微細構造異常はSHOX上流CpGサイトのDNAメチル化状態に影響を及ぼさないことが明らかになった。②クラインフェルター症候群 (KS)におけるX染色体不活化 (XCI)比率の分布とXCIの偏り (skewed XCI)の頻度を明確にするため、KS患者18例を対象にAR遺伝子のDNAメチル化解析によるXCI比率を測定した。得られたKS群のデータを健常女性のデータと比較した結果、KS群のXCI比率の分布は健常女性群と同様であることが明らかとなった。また、KS患者18例中2例 (11.1%)にskewed XCIが確認され、KS患者におけるskewed XCIは稀であることが明らかとなった。③性成熟疾患に関与するDNAメチル化異常の同定をするため、既知責任遺伝子変異陽性患者9例、健常成人8例と健常小児4例を対象に網羅的DNAメチル化解析を行った。得られたデータを用いてバイオインフォマティクス解析を行い、疾患特異的にDNAメチル化状態が変化する領域を抽出し、DNAメチル化変化を示す複数の領域を同定した。現在、同定した領域について臨床症状との関連を調べている。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)
Molecular and Cellular Pediatrics
巻: 7 ページ: -
10.1186/s40348-020-0093-x.
Cytogenetic and Genome Research
巻: 158 ページ: 56-62
10.1159/000500468.