研究課題
ERα 陽性乳がんの治療の一つとして内分泌療法が行われるが、多くの場合耐性が認められる。耐性を打破するためには、恒常的な ERα 高発現を抑制する効果的な治療法の開発が必要である。一方、乳がんはゲノム異常の蓄積が病態に関与する。私たちは、ERα 発現を増加させる遺伝子変異の同定を試み、ERα 発現を増加させるSwitch-Independent 3 Transcription Regulator Family Member A (SIN3A)遺伝子に変異を検出した。現在、SIN3A変異体の機能をさらに詳細に検討するために、Genome-editing via Oviductal Nucleic Acids Delivery (GONAD)法を用いてSIN3A変異体を乳腺特異的に発現するノックインマウスの作成を試みている。変異体を発現するマウスを作成するための予備検討を実施した。まず操作手技を確立するため、卵子への蛍光色素の導入を試みた結果、卵子への蛍光色素導入を確認した。次に、実際に GONAD 法により、遺伝子改変マウスが作成できるか検討した。GONAD 法を行い、AKR1B7 のKO マウスを作成した。GONAD 法を用いて処置したマウスから生まれた胎児の内、13.5% が、ホモのノックアウトだった。23.1%は、AKR1B7のヘテロのノックアウトだった。25% は、複数の箇所がノックアウトされたモザイク状態であり、短期間に両アレルノックアウトマウスを作成することができた。現在、コンディショナルSIN3変異ノックインマウスを作成するために、LoxP-STOP-LoxP 配列を設計し、エレクトロポレーションを用いた導入の条件検討を行っている。
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