研究課題/領域番号 |
18K16257
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
石川 大地 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 徳島大学専門研究員 (70633882)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 大腸癌 / microRNA-449a / 癌幹細胞 / 上皮間葉転換 / 解糖系 |
研究実績の概要 |
microRNA-449a(miR-449a)の欠失や発現低下は大腸癌発癌・癌進展に密接に関与する因子であることが明らかとなった(Sci Rep 2017)。miR-449aの詳細な機能・制御機構については不明であり、癌悪性度評価や予後予測等バイオマーカーとしての確立、また新規治療手段開発に向けてさらなる研究が急務である。miR-449aはHiston diacetylase 1(HDAC1)、SOX4、Lactate dehydrogenase (LADH)といった癌幹細胞性、上皮間葉転換・解糖系を制御する遺伝子群を標的とし得る。miR-449aはこれら標的遺伝子を介して癌表現系・悪性度を決定づけるという仮説のもと、癌細胞株に置ける上皮間葉転換(EMT)誘導プロトコールの確立を図った。TGFβ、Wntシグナル増強によりEMT誘導がなされたかどうかを、EMT関連因子(E-cadherin,Twist,Snail)遺伝子の発現量にて評価下が有意な発現量の変化は認められなかった。TGFβ、Wintシグナル誘導のタイムポイントや細胞株自体のEMT誘導に対する感受性の差が関連していると考えられた。また胃癌摘出標本を用いた検討では、miR-449a発現量は非癌部に比較して癌部で有意に低く、深達度や病期など悪性度が高いほど低発現であった。miR-449a低発現群では高発現群に比較し優位に予後不良で有り大腸癌と同様に胃癌症例においてもmiR-449aはバイオマーカーとして機能しうることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度は細胞モデルにおけるEMT誘導とmiR-449aの発現パターンを解析し機能面においてもFACS解析にて明らかにする予定であったがモデルの確立に難渋した。大腸癌細胞株HCT116,HT29を用いて、細胞を播種直後よりTGFβ、Wntシグナル刺激によりEMT誘導細胞の増加を測ったが、E-cadherin,Twist,Snailの遺伝子発現量に差は認められず有効にEMT誘導がなされなかったためプロトコールの変更が必要と考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策:EMT誘導時におけるmiR-449aの発現パターンの解析においてin vitroでの細胞株EMT誘導プロトコールの確立およびEMTに特異的な細胞分画の同定とFACSセルソーターを用いた細胞分取、EMT獲得細胞におけるmiR-449aの発現を測定する。miR-449aの機能解析としてin vitroとin vivoのモデルにおけるmicroRNA mimicやinhibitorによるEMT誘導時に与える影響を解析し、さらにmiR-449aの標的遺伝子の候補としてHDAC1、SOX4,LADHのmRNA転写・タンパク翻訳レベルでの発現解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)計画書作成時に購入を予定していた試薬等各種消耗品の価格変動のため (使用計画)次年度への繰越額は消耗品購入に使用予定である。
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