研究実績の概要 |
コロナの影響で所属施設における実験が一定期間停止されたことと、米国ジャクソン社からのC57BL/6-Foxp3DTRマウスの購入が大幅に遅れてしまった。その影響で繁殖も順調にすすまず、当初の計画より大幅に遅延してしまった。しかしながら2020年10月より繁殖を本格的にスタートし、C57BL/6-Foxp3DTRマウスの繁殖およびそれらとDBA/2マウスとの繁殖を行い、C57BL/6-Foxp3DTRマウス及びF1マウス(C57BL/6-Foxp3DTR x DBA/2)の個体数を増やしていった。PCRを行い、遺伝形質(Foxp3DTR遺伝子)がきちんと伝達されている個体を選別した。C57BL/6-Foxp3DTRマウスをレシピエントとし、CD4, CD8, CD40L抗体を注射後に3Gyの全身照射を行い、F1マウス(C57BL/6-Foxp3DTR x DBA/2)をドナーとする骨髄移植を行い混合キメラマウスの作成を行った。キメラ状態を確認するために末梢血を採取しFlowcytometryを行った。C57BL6は細胞表面にMHC(H-2Db)を発現しF1マウスはMHC(H-2Dd)を発現しているので、末梢血細胞をCD3とH-2Ddで多重染色し、混合キメラ状態になっていることを確認した。現在それらに対しDBA/2をドナーとする皮膚移植と心臓移植を行い、移植臓器の生着モニタリングを行っている。免疫寛容が誘導されていることを確認した後にジフテリアトキシンを注射し、制御性T細胞(Foxp3陽性細胞)を消去し移植臓器に対する免疫寛容が破綻することを確認した。次年度はRag2-ノックアウトマウス(C57BL/6バックグラウンドでT,B細胞を欠損している個体)への輸注療法を行う予定である。
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