研究実績の概要 |
本年度は研究代表者の異動に伴い、異動先における遺伝子組み換え実験・動物実験実施に伴う研究環境の再構築が必要となった。しかし、新型コロナウイルスによる影響で異動・移管・倫理審査手続きが遅延し、研究計画に大幅な遅れが生じた。 そのため、DRY解析や異動先の環境からただちに遂行可能な研究計画へと移行して、本研究に取り組んだ。DRY解析としてThe Cancer Genome Atlasなどの大規模臨床検体データベースを利用して、転移予測マーカーとしての有用性を評価した。 一方で、当初予定していなかったHER2陽性乳癌(2検体)、Luminal乳癌(2検体)含む臨床検体の採取と10xChromiumを用いたシングルセルRNA-seq解析を実施することができた。このことから、実際の臨床検体を用いた検証を行うことが可能になり、現在解析を進めている。活性型ERBB2-NMuMGを用いた同所性移植手法(原発巣形成、全身転移の評価)、尾静脈注射手法(肺転移の評価)、尾動脈注射手法(骨転移の評価)、頭蓋内移植手法(脳転移の評価)の実験結果、組織解析、発現解析をまとめて現在論文投稿準備中である。 また、HER2陽性乳がん細胞株における脳転移能の評価(Kuroiwa et al., 2020)、新規ルシフェリンアナログを用いた乳がん転移イメージング技術の開発(Nakayama et al., 2020)、乳がんにおけるin vivo selection法・高転移株に関する総説(Nakayama et al., 2021)を報告した。
|