トリプルネガティブ型乳癌は内分泌療法や抗HER2療法のターゲットとなる分子が発現していないため、特異的な治療が存在していなかった。近年、BRCA1変異乳癌に代表される、DNA修復不全をもつ乳癌に対し、相同致死性を利用したPARP阻害剤が開発された。だが、BRCA1変異を全例検索することは現時点で困難であり、DNA修復不全をもつ乳癌をより簡便に識別できるバイオマーカーの検索が急務である。我々の検討により、LSD1蛋白の免疫染色はBRCA1遺伝子機能異常を検出できる可能性が見いだされた。すなわち、遺伝子変異検索より安価な免疫染色を用い、PARP阻害剤の適応拡大を狙うものである。
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