肝移植を受けた症例の術後早期の肝生検組織を使用し、免疫染色を行った。結果では、類洞に沿ってVon Willebrand factor(vWF)は凝集塊様に発現し、ADAMTS13は明確なドット様に発現し、CD42bは凝集様または肝細胞に内に点状に発現として確認された。これらは主にZone2および3に認められた。またvWFとCD42b発現強度は、Zone3において有意な正の相関を認め、中心静脈周囲の領域にTMA病態が発生しやすいことが証明された。また同所見を認めた症例の短期成績は不良であった。 マウスにモノクロタリン(MCT)を投与してVODモデルを作成した。VOD群はSham群と比較して、12~48時間の経過において、肝臓組織の免疫染色ではvWF・ADMATS13発現の増強を認めた。血液検体では、VOD群において、血小板数低下および血漿vWF濃度およびvWF(A2)は有意な上昇を認めた。以上の免疫染色の所見、血小板数や血中vWFの変動は、VODに伴うTMA病態を示唆するものと考えられた。VOD群において、血漿ADAMTS13濃度は低下したが、同活性は有意な上昇を認め、血中ADAMTS3活性/濃度比は著明に低下した。血中ADAMTS13活性/濃度比は、VODの早期バイオマーカーとなると考えられた。次にVODにおけるリコンビナントADAMTS13の有用性の評価を行った。リコンビナントADMATS13を皮下注すると、48時間の経過で、血中ADAMTS13活性が上昇することを確認した。マウスVODモデルにおいて、MCT投与前にrADAMTS13を皮下注し、VOD軽減効果の有無を評価した。VOD群およびVOD+rADAMTS13群では、血小板数に有意差を認めなかった。また、HE染色でもVOD抑制効果を認めず、rADAMTS13単独でのVOD抑制効果を確認できなかった。
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