研究課題/領域番号 |
18K16278
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
澤木 康一 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (60815033)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 胃癌 / MELTF / 機能解析 / 血清診断 |
研究実績の概要 |
進行胃癌は治癒切除術後も高頻度に再発をきたすことが大きな問題となっている。治療法選択、術前治療の効果判定、切除術後の再発モニタリングのいずれの場面においても、鋭敏なバイオマーカーの開発が求められている。多様な進展経路を持つ進行胃癌の治療成績を改善するには、治療の個別化につながる新規分子標的治療薬と鋭敏でかつ病態を反映し得る腫瘍マーカーの開発が望まれる。本研究では、組織中および術前血清中の発現亢進が胃癌の進展・予後と相関し、優れた予後因子となりうることを予備実験で見出したmelanotransferrin (MELTF) に着目し、胃癌の診断・治療の両面における臨床応用の可能性を追求している。予備データとして、再発性胃癌組織を対象とした網羅的発現解析データ、MELTFの手術検体胃組織中mRNA発現解析データが得られているとともに、前向き検体収集が開始されており速やかに研究計画が実施できた。さらに、siRNAを用いたMELTFのノックダウン効率も確認済みのため、胃癌細胞株を用いた機能解析を順調に開始した。in vitro実験では、MELTFのノックダウンにより胃癌細胞株の増殖能および浸潤能が有意に阻害されることが明らかとなった。in vivo実験では、マウス皮下腫瘍モデルにおいてMELTF阻害による造腫瘍能の低下が認められた。MELTFの胃癌進展における役割を明らかにするために、干渉するmicroRNAを新たに同定することを目的としてmicroRNA arrayによる網羅的解析を実施し、現在、アレイデータの統合的解析に着手している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成30年度はMELTFの機能解析としてin vitro実験(MELTFのノックダウンによる胃癌細胞増殖能、遊走能、浸潤能、細胞接着能、アポトーシス、細胞周期の変化を調べる)、 in vivo実験(マウス皮下腫瘍モデルによる造腫瘍能)を実施した。in vitro実験では、MELTFのノックダウンにより胃癌細胞株の増殖能および浸潤能が有意に阻害されることが明らかとなった。in vivo実験では、マウス皮下腫瘍モデルにおいてMELTF阻害による造腫瘍能の低下が認められた。MELTFの胃癌進展における役割を明らかにするために、干渉するmicroRNAを新たに同定することを目的としてmicroRNA arrayによる網羅的解析を実施し、現在、アレイデータの統合的解析に着手している。
|
今後の研究の推進方策 |
2019年度は、研究計画どおりにMELTFの発現解析として免疫組織化学染色法(胃癌切除検体から得た切片を用いて腫瘍組織中のMELTF蛋白発現度とその分布を調べ、予後・再発形式との相関性を解析する)とELISA法による血清中MELTF値の測定を実施する。これら結果をもとに血清中MELTFの診断能の検証および既存の腫瘍マーカーとの比較解析を行う。現在の進捗状況から、全ての研究計画が期間内に完了できるものと考えている。
|