研究課題/領域番号 |
18K16285
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
岡田 憲樹 自治医科大学, 医学部, 助教 (40611786)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 肝移植 / 常温酸素化灌流 |
研究実績の概要 |
実験計画に従い、2018年年度では2回、2019年度では1回のブタ肝灌流実験を行った。いずれの実験も細胞外液型電解質組成、糖濃度、アミノ酸濃度を調整した灌流液に抗凝固薬としてヘパリンを混注した灌流液に、2018年度1回目は酸素運搬体としてブタ血液を10%配合した灌流液を用いて、2018年度2回目はブタ血液を30%配合した灌流液を用いて、2019年度1回目はブタ血液を配合せずに12時間の常温酸素化灌流保存実験を行った。いずれの実験も12時間の常温酸素化保存観察においてトラブルなく終了した。 以前に行った実験結果を加えて解析したところ、酸素運搬体としてブタ血液配合濃度増加に伴って、灌流中のブタ肝の重量増加が明らかに抑えられる結果となった。ブタ血液配合濃度が0%のときはグラフトを想定したブタ肝は12時間の常温酸素化灌流後に1.34±0.06倍へ重量増加がみられたが、血液配合濃度を50%まで増加させると1.03±0.04倍まで抑制することができた。また、病理学的にも、ブタ血液配合濃度増加に伴って類洞の拡張が抑えられており浮腫改善を示唆する所見であった。 現在はこの所見をもとに、学会発表を行い、論文を投稿中である。 またこの結果を踏まえて次に行う実験について内容を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では1年次にブタ血液配合濃度を変えた実験を終了し、2年次以降生存実験を行う予定であったが、まだブタ血液配合濃度を変えた実験が終了していない。しかし、ブタ血液配合濃度を変えた実験が終了しないと生存実験へは進めないので順に実験を施行していく。また、以前の研究結果と合わせることでブタ血液配合濃度変化によるグラフト肝保存効果が検討できたので、学会発表および論文作成を進めている。現在欧米では常温酸素化灌流装置の利用が急速に進んできているため海外の移植施設スタッフより情報を収集し、ブタを用いた肝移植実験の必要性を含めて、今後の方針を検討している。また現時点での実験結果について論文を作成し投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
以前の実験結果を加えて解析することにより常温酸素化灌流によるグラフト肝保存効果は検証することができたため、今後は学会発表および論文作成を行い、また海外を含めて情報収集していく。またブタを用いた肝移植実験についてはその必要性について検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
1年目、2年目については実験を行い、過去の実験データも加味して常温酸素化灌流における臓器保存効果を検討することができ、それについて論文を作成し投稿中だが、現時点ではアクセプトまでは至らず改訂中である。またブタを用いた移植実験については、その必要性について検討中である。
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